日本人の大半が知らない欧米流リーダー育成の肝 多読でディベートを積み重ね問題解決力を磨く

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まとめると、競技ディベートの特徴は以下のようになります。

① 何について議論するかは予測できない

② 決められた時間内に結論を出して発表する

③ 自分が普段支持している立場から主張ができるわけではない

④ 自分と逆の立場の意見を論破し、第3者を納得させる

よく見ると、これは現役の社会のリーダーが日々取り組んでいることですね。

このように、議題や賛成反対の立場、順番などがその場で決められるので15分の準備時間は、戦略を立てるので精一杯です。議題内容を調べる時間はありません。必然的に、社会・政治・経済・政治・文化などの幅広い課題を事前に深く認識しておく必要があります。

「知らないことは話せない」というわけです。ユニオンのメンバーにPPEの学生が多いのは、多読や論文執筆を通してディベートに活用できるインテリジェンスを事前に身に付けているからです。

オックスフォードのディベート訓練の機会

さて、ディベートは難しそうですか。最初から上手な人はいないので、オックスフォードには豊富なディベート練習の機会が用意されています。前述のように13世紀から毎週1回ディベートを続けているカレッジもあります。

ユニオンでは、初級・中級・上級者向けに、それぞれ週に1回トレーニングがあります。ディベートの役割や交渉方法の説明の後、毎回実際にディベートを行い、丁寧なアドバイスがもらえます。

また、大観衆の集まる木曜日の伝統の公式ディベートの前に「緊急ディベート」が行われます。さらに公式ディベートの後に、アフター・ディベートという時間があります。これらは、メンバーであれば自由に参加でき、伝統の議場で自分の力を試せます。

次ページイギリスの保守党のリーダーが楽しんできたディベートとは?
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