大好きな「電通」を辞めて僕たちはどこへ行くのか クリエイティブディレクターが語る広告の未来
東畑:今は過渡期で、多くの企業がDXをはじめ、ルールや体質を変えようと模索しています。持続可能な資本主義に向けて世の中が変わろうとする中、あらゆる企業が存在意義を再定義するタイミングにある。「効率」と「幸福」とが違うことに、みんなそろそろ気がつき始めている。ソロバンも大切だけど、ロマンも忘れちゃいけない。その両方を見据えながら、企業やブランドと向き合っていく必要があると思っています。
これから再び「らしさ」が重要になっていく
齋藤:広告でも機械が判断した「調査結果がこうなので、この情報を入れてください」によって、70点の広告を量産するようなことが起きている。東畑さんはそこへの危機感があるように思います。足跡がついていない道を歩みながら人の気持ちを動かすことをやらないと、世の中が痩せてしまう感覚があるんじゃないかな。
東畑:僕は、広告とは「にぎわい」を作る仕事だと思っていて。にぎわいができれば、パワーが生まれるし、マネタイズもできる。ブランドに、TVCMに、SNSに、店頭に、イベントに、地域に、企業と企業とのリレーションの間に、「にぎわい」を作っていく。
そのために必要なのは、「人を魅了する」こと。効率も作るけど、フェロモンも作る。それを忘れてしまうと、僕たちは存在意義を失ってしまうのかもしれない。そういう意味では、これから再び「らしさ」が重要になっていくようにも思っています。太郎さんが言うように、今はあらゆる分野で正解を出そうとしてしまっているけど、最後に大切なのは企業やブランドが持つ「らしさ」。太郎さんの「なんとかする」クリエイティブディレクションでも、太郎さんが持っている記憶や視点、感動が役立つわけですよね。
広告業界が生き残ろうと変革する中で不安を持っている人もいるけれど、僕はそれこそ「ビッグ愛」を持って、後輩やこれから広告業界を目指す人に明るい背中を見せられる存在でありたいです。人を魅了する仕事だから人生を懸ける価値があるし、こんな面白い仕事はないですから。
(構成:天野夏海)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら