若者に蔓延する「社会主義への憧れ」が危険な訳

「隷従への道」「アイデアのつくり方」を読み解く

『週刊東洋経済』8月3日発売号の「コロナ時代の新教養」は各分野の専門家による誌上講義や独学、読書、プログラミング等々、これから必要な教養を身につけるためのヒントが盛りだくさん(デザイン:池田 梢)

大きくは社会の仕組み、身近なところでは働き方や地域経済との関わり、そのよい面と悪い面が、コロナ禍の中で浮き彫りになった。僕たちは、今までとは明らかに異なる経験や頭の使い方をした。リモートワークも住まいとその近辺のみで過ごすステイホームも、平時にはありえなかったはずだ。

しかし、この特異な経験を次にどうつなげていくか。具体的な行動や判断は非常に難しく、安易な決定が危険であることはコロナ以前も以後も変わらない。

僕は『週刊東洋経済』8月3日発売号の特集「コロナ時代の新教養」において、非常事態の渦中で今はまだモヤッとしている思考に確かな軸を、そして新しい視点を与えてくれる本を5冊挙げた。このうち本記事で2冊を紹介したい。

アイデアは既知のもの同士の組み合わせ

まずは、『アイデアのつくり方』だ。1940年初版の本だが、ロングセラーとして読まれ続け、1988年の日本初版からも、30年以上経つ。アメリカの広告業界で成功を収めた著者ジェームス・W・ヤングの主張には今も古びたところがない。アイデアに関する本は多く出版されているが、1冊選んで読むなら、僕はこの本を薦めたい。

まず、「アイデアは既知のもの同士を組み合わせることで生まれる」と著者のヤングは明快に説明する。これは、経済学ではよく知られたシュンペーターの「新結合」、今でいうイノベーションの定義と似ている。そして、既知のもの同士をうまく繋げてアイデアにするには、事物の関連性を見つける力、つまり一見するとバラバラな言葉や事柄を結びつける能力が重要だという。

これを身につけるために、ヤングが自身と同じ広告業界の人々に勧めたのが、社会科学の勉強だった。

ある分野を体系的に学ぶことで、ビジネスや日常生活の中にも新しいアイデアが生まれる。これには僕も同感だ。社会科学を学ぶことは、「単なる勉強」を超え、新しいアイデアの素地になるのではないかと思う。そして、専門性を身につけることで物事のつながりを意識しやすくなる面は確かにあるとも感じている。

テレビ番組でコメンテーターとして発言する際にも、僕の場合は経済学の知見やこれまでの研究の積み重ねが土台になる。例えばニュース番組で時事問題を扱うとき、ある問題とゲーム理論分野でいう「囚人のジレンマ」の構造が似ているな、と経済学に結びついた気づきを得たり、応用的な思考をしたりという具合だ。

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