実は「高速道200円で普通車乗り放題」が可能な訳 NEXCOの計画「2066年に無償化」は絵に描いた餅
日本は、「自分の車に自費でガソリンを入れ、自ら運転する高速道路の料金が、乗れば目的地まで運んでくれる鉄道の料金より高い」という、世界的にも異常な状態にある。トヨタの元副社長で名古屋商工会議所副会頭なども務めた栗岡完爾氏、岐阜県庁で企画・経済振興などの分野で活躍した近藤宙時氏は、「モノの流れや人の流れを妨げている現在の高速道路のあり方こそ、経済の沈滞を生み、地域間の格差を広げてきた元凶」と話す。
アフターコロナも見据え、データに基づいた提言をもって「地方を切り捨てる産業・国土交通政策」の欺瞞に迫った両氏の共著書『地域格差の正体 高速道路の定額化で日本の「動脈」に血を通わす』から、一部を抜粋・再構成してお届けする。
日本の高速道路料金の大半は、不合理な借金返済に充てられている。その矛盾を正せば、「普通車200円、特大車800円」の定額制料金も可能。筆者らはその先に「地域格差解消」の光明を見出している。
1台800円強の通行料分しか走行せず
図表1はNEXCOの3社が発表している通行量と料金収入の一覧である。
これによると、高速道路を利用した車は平均で1台当たりわずか800円強の通行料分しか走行していない。この通行台数には普通車だけでなく通行料金が約2倍となる大型車・特大車も含まれている。
この事実が、新たな料金制度に移行することを可能にしている。
現在、高速道路を利用している車が支払っている通行料金が平均で800円強ということは、入口で800円を支払えば、同じNEXCO管内ならどこまでも走れる定額制にできるということだ。いや、現実に定額制になれば、これまで高速道路を利用しなかった人たちが利用するようになり、通行料収入も増えるはずである。
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