「コーダあいのうた」がこだわった障害者の描き方 監督が語るデフカルチャーを題材にした理由

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――聴覚障害者をキャスティングしたのは、よりリアルさを追求したということなのでしょうか。

はい。自分にとっては聴覚障害者の人以外がこの役を演じると言うことは想像もできませんでした。確かに、耳の聴こえる俳優に手話を学んでもらうという方法もあります。しかし、手話をネイティブでやっている人とその後に学んだ人ではやはり差があります。ネイティブで手話を学んだ人は、即興もしやすいし、遊び心のある演技もしやすい。よりリアルな感情が描けるのではないかと思って、ネイティブの話者を起用しました。また聴覚障害者であれば「どのように演じたら良いか」ということについて葛藤をしなくて済みますよね。

母親であれば娘とスムーズにコミュニケーションが取れない、父親であれば生計を失うようなことがあれば、どうやって家族を養っていくかを悩み、自分の人生を振り返って悩みます。そうしたことは障害の有無とは関係がありません。そして、俳優自身が聴覚障害者であればその部分にのみフォーカスして演技ができます。

本当に聴こえない人に演じてもらうことによって、監督としてより自由に演出することができたと思っています。

映画の世界では障害者の登場が少ない

――アメリカは多民族国家であり元来さまざまな多様な文化が根付いている印象がありますが、障害者も含めたダイバーシティー&インクルージョンは進んでいると思いますか。

ASL(アメリカ手話)も見所のひとつ © 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

多様性という観点からすると良くなってきているのかなという気はします。例えば、LGBTQの人たちの生き方など、今まではあまり映像表現として取り上げられなかった、多様な生き方をする人たちが映像でつづられるようになりました。

しかし、障害がダイバーシティーの文脈ではあまり語られないのが残念です。もっと取り上げられていいのではないでしょうか。彼らの人生や物語というのはきちんと表現されていない。その点はこれから変わってくれればいいなと思っています。

今回のように聴覚障害者が登場する映画がきちんとエンタメ性があって、そして皆さんが見ることによってヒットすれば、よりそうした作品が増えるのではないかと。

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