中国の入試「カンニング」驚愕のハイテク化実態 腕時計型専用デバイスや超小型イヤホンも登場

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中国のカンニング対策は徹底しており、日本人目線だと人権侵害ではないかと心配になることもあった。

大学の定期試験の際はかばんやポケットのある上着を教室の隅などに一カ所に集めて、手が届かないようにした。筆箱など目隠しになり得るものは机に置かせず、1人ひとり服の袖を裏返したり、手を入れて怪しい物がないか確認する。

定期テストですらこうなのだから、人生がかかっている大学入試のカンニング対策はまるで対テロ警備のようだ。

毎年約1000万人の受験生が参加する中国の統一大学入試「高考」では、携帯電話など通信機能のある機器は持ち込み禁止で、電波の遮断、金属探知機を使ったボディーチェック、専門職員によるモニター監視などは当たり前だ。警察は付近をパトロールし、不審な無線回線の有無まで目を光らせる。

腕時計型カンニング専用デバイスも

報道によると今年の共通テストの問題流出にはスマホが用いられたが、中国ではWi-Fiもスマホも十分に普及していない2009年の大学入試で、同様の事案が複数件発生した。

いずれも受験生と外部の協力者がグルになった組織的犯行で、うち1件は、高校教師グループが試験会場近くのホテル屋上に無線アンテナを設置し、試験中の教え子たちとデータをやり取りするという大がかりな不正だった。

カンニングペーパーの持ち込みと替え玉受験が主流だった不正はその後10年でハイテク化が加速、金属探知機に反応しない超小型イヤホン、腕時計型カンニング専用デバイスも登場した。腕時計型デバイスは文字盤を偽装したディスプレイに外部から送られたデータが表示できる仕組みで、ネットで30万円前後で売られていた。

直近の2021年入試では数学の試験中に問題の一部がネットに流出した。電子機器の持ち込みが禁止され、電波も遮断されているはずなのにどうやってすり抜けたのかに関心が集まった。当局の調査で、不正を働いた受験生は手に持った薄いカーディガンに小型スマホを隠して持ち込んだことが判明。試験会場が遮断していたのは4G回線だけで、5Gには未対応だったとも説明された。

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