「昔話」が教えてくれる「欲を捨て人生を開く方法」 自分の半径3メートルの世界が明るくなる秘訣

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というわけで、「おすそ分け」こそは、あげるの王様と言っていいと私は思う。

捨てる寸前のものだって

ま、このあたりまでは常識的な贈り物の範囲内だが、エ、そんなものまで……というようなものも、私、しょっちゅう人様に差し上げている。

例えば、クリップ類。これは仕事上、書類やゲラなどが紙で送られてくることが少なくないのだが、それがもれなくクリップでとめられているわけです。でも自分じゃ全然使わないので、用が済めば捨てるしかない。

でも新品同然だしそれも勿体無いので、ふと思いついて、当コラムにしょっちゅう登場するブックカフェのご主人に「こんなん、使いますかね?」と聞くと、あ、使います使いますとのこと。それに味をしめて、これも送られてくるが自分じゃ使わない、書類を入れるクリアファイルも「使いますかね?」と聞いたら「使います!」とのことだったのでせっせと持参させていただいている。

さらにある日、メモ用紙が必要で「何か書くものお借りできますか」と尋ねたら片側に印字したA4の紙をくださったので、あ、なるほどと思って、チェック済みの予備のゲラも持参するようになった。こんなものでも喜んでいただけるとは、本当に得をした気分である。

また、なんだかんだとたまってしまう紙袋は、よく行っているパン屋さんが、持ち帰り用の無料紙袋としてストックしているので、そこへせっせと持っていくと、とても喜んでいただける。

使い古したレシピ本も、料理好きには案外喜ばれる。一見、ボロボロで醤油のシミなどついているので、人様に差し上げるなど失礼な気がしてしまうが、そこまで使い古したということは「使える料理が多い」ってことなので、親しい相手ならまったく問題なし。

もちろん、買ったもののほとんど使うことなく眠っている「真新しいレシピ本」も、それはそれで喜ばれる。自分じゃハードルの高かった料理も別の人は活用してくれるかもしれないと思うと、新天地で頑張れよと笑顔で送り出したくなる。

つまりはこれ全部、放っておけば捨てるしかないものばかり。でもまさに「捨てる神あれば拾う神あり」で、どんなものも時と場所を得ればゴミも宝になるのである。ものを生かすと自分も生かされたような気になり、人生が明るくなる。

自分の「特技」を送るというのも、よくやる。

いやまあ特技といったって、まったく大したもんじゃない。

例えば、使い古した手ぬぐいやタオルをザクザク縫って雑巾にして、気の置けない友人にあげる。雑巾なんて何枚あったって困らないし、雑巾をもらって「お返しはどうしよう」なんて悩む人もいないのがいい。

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