脱サラし月面探査車開発「NASA」の目にとまった訳 きっかけは直接送った探査車の「YouTube」動画

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YAOKIが月へ行く日は今のところ、今年中旬に予定されている。YAOKI単体での走行試験は国内で終えているが、アメリカにわたっての統合試験はこれからだ。

初回の月面探査に搭載されるのはYAOKI1台だが、今後、複数機を送り込めれば同時にたくさんの人が操縦できるようになる。中島さんはこれまで各所で操縦体験イベントを開いてきたが、子どものほうが大人よりも操縦がうまい、という実感を持っている。

各地で開いているYAOKIの操縦体験イベント。子どもたちでも上手に操縦する(写真:ダイモン)

「いずれ本当の月面探査で、子どもたちも含めてたくさんの人にYAOKIを操縦してもらいたい。それが当たり前にできれば、今より一歩進化した、突き抜けた社会になるだろう」

操縦すること、それはすなわち、YAOKIがアバターとなり、まるで自分が月へ行ったかのように月面旅行を楽しめる、ということ。

「過酷な月面という環境で、人間の代わりに探査する。YAOKIはただのロボットではなく、人間のパートナーとしての存在でありたい」、中島さんはそう夢を語る。

この道を選んでよかった

自身のこれまでを振り返ると、組織で働いた経験が独立後の仕事に役立っていると感じることがある。「組織の力学や微妙なバランスなど、組織にいるときは当たり前に感じていることが、独立すると付加価値になる。大きな組織と取引するときも、自分が組織にいたので何を求められているのか、これからどのような流れで物事が進むのかが予測できるから」。

写真左:YAOKIの実証実験用に、北海道赤平市の植松電機が試験装置を開発し、会場も提供した。写真は説明会の様子、左が中島さん、右が植松努社長/写真右:2021年6月、植松電機の「熱真空チャンバー」を用いた実証実験。日本初の真空での走行実証試験で、多くのメディア関係者が駆けつけた(写真提供:ダイモン)

組織を離れ、独立・起業することに最初は恐れもあった。でも今は、この道を選んで良かった、と強く思う。

「苦手な分野も含めて自分自身ですべて責任を持ってやらなければいけない。それはプレッシャーだけれど、ポジティブに新しい経験だと捉えられれば良い。何より自由に働けるのはとても気持ちがいいし、失敗しても死ぬわけじゃない、というのが持論。

そもそも挑戦を続け、新しい価値を生み出さなければ、仕事はいずれ立ち行かなくなる。独立したら、挑戦は日常茶飯事。50代になっても自身の成長を日々、ダイレクトに感じられるのは大きな喜びだ」。

パートナーシップ契約を締結している三菱ケミカルから提供を受けた強化プラスチックを車輪等に使い、軽量化に成功したYAOKIは手のひらサイズ。100Gの衝撃に耐え、洞窟への投げ込み 探査もできる(写真:ダイモン)

最後に中島さんはこう言った。「エンジニアなら、できれば宇宙に関わってみてほしい。未知なることが多い宇宙の分野には教科書がなく、正解もない。オリジナリティー豊かに挑戦していけるフィールドがある」。

YAOKIを通して見える月の景色は、どのようなものだろう。夢の続きを一緒に見ていきたい。

吉岡 名保恵 ライター/エディター

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よしおか なおえ / Naoe Yoshioka

1975年和歌山県生まれ。同志社大学を卒業後、地方紙記者を経て現在はフリーのライター/エディターとして活動。2023年から東洋経済オンライン編集部に所属。大学時代にグライダー(滑空機)を始め、(公社)日本滑空協会の機関誌で編集長も務めている。

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