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「リスクゼロを目指す」企業ほど社員が硬直する訳 組織の存在意味が共有された会社はうまくいく

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  • 斉藤 徹 起業家、経営学者、研究者 ビジネス・ブレークスルー大学教授
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この手紙で職員の意識は大いに高まり、寄付額は増加しました。さらに大学は、奨学金を受け取った学生たちをコールセンターに招待しました。訪問時間は5分ほどで、学生たちは「自分はこういう人間で、奨学金のおかげでこんな学生生活を送っている」と、ただ自分のことを話しただけです。

これにより職員は大いに刺激を受け、1カ月後、電話をかける時間は142%増となり、週あたりの収入も172%と大幅なアップを記録したのです。

これは際立った事例ですが、仕事の意味を共有することが社員の働く意識を大いに刺激することは、誰でも想像がつくでしょう。意味の共有によって、内側に向いていた社員の視線が、顧客や仕事に向くきっかけになるのです。

注目の「オーセンティック・リーダーシップ」

冒頭で述べた「警戒する組織」の罠に陥りやすいのは、計画や手続きの尊重、厳格な品質、均質なサービスを求める組織であり、分野や業種としては金融・メーカー・行政などに多く見られます。

いったんリスクゼロ思考が染みついてしまうと「率直で人間的な対話は非常に難しい」と感じる人が多いのですが、実はそんなことはありません。なぜならこれは「新しい技術」を身につけることではなく、「素のまんまの自分」に戻ることだからです。

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「ビジネスの顔」という仮面をはずして、人間性を飾らずにそのまま出すこと。裏表のない正直さや誠実さこそが、社員・顧客・社会との信頼関係の礎になるものです。

近年、「オーセンティック・リーダーシップ」というスタイルが注目されています。自分自身の価値観や信念に正直になり、思いと発言、行動に一貫性を持ち、自身の弱みも含めて自分らしさを大切にするリーダー像です。

「警戒する組織」を脱したいのであれば、リーダー自らが人間性を取り戻すこと。率直な言葉で、自分自身がたどってきた失敗や弱さも素直に認め、その上で真に誠実な組織を目指したいと、情熱を込めて宣言することです。

そして、手間と時間がかかっても、ていねいなコミュニケーションを通じて、メンバーが「しよう」「したい」と思える環境をつくること。急がば回れ。リーダーとは仕事と情報を配る人ではありません。意味と希望を伝える人なのです。

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