「リスクゼロを目指す」企業ほど社員が硬直する訳 組織の存在意味が共有された会社はうまくいく

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組織に属するメンバーの意識が、顧客ではなく社内に向いている。顧客の気持ちよりも上司の気持ちが優先。顧客の価値よりも社内の評価が大事。チャレンジよりもリスクゼロを目指す。

こういった、過剰な警戒心を持つ硬直した組織を「警戒する組織」と呼びましょう。顧客への貢献意識や、率直で人間的な風土が失われ、言われたことだけを実践しようとする自律性のない組織です。

顧客や社会との共感や信頼を優先する

対して、過剰な警戒心の罠に陥ることなく、顧客や社会との「共感や信頼」を優先する組織を「共感する組織」と名づけます。「共感する組織」になると、対応は次のように変わるでしょう。

ツイッターに自社サービスへのクレームが投稿された。担当者はSNS上の顧客の声に常に耳を傾けており、クレームが拡散されはじめた気配に気づいた。SNSのコミュニケーションに関しては「ミッションとバリューに基づいて、臨機応変な対応をとる権限」が担当者に移譲されており、さっそく彼はツイッター上でクレームを投稿したユーザーとオープンに対話をはじめた。
まずはユーザーの気持ちを受け入れ、率直な言葉で謝意を表す。そのうえで、応急的な対応と本質的な改善について、自分がわかる範囲でコメントした。1人の人間として、クレームを入れたユーザーと誠実に対峙したのだ。
ユーザーは対話によって安心し、しばらくするとブランドへの共感のツイートも広がった。社内で共有する一貫した企業哲学が、対話や行動を通じて社会に伝わったことで、ブランドイメージも自然に高まった。
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