「ロボットに100%負ける人」は一体誰が作るのか 「どうせ無理」ばかり言う周囲の大人たちの害
でも最近の中学生、高校生の相談を受けていると、彼らはまわりの大人の言うことを信じすぎているように思います。もっといろんなものを読んだり、見たりすればいいのに。みんなまじめなのか、見ている世界が狭いんじゃないかなという気がするんです。
黒歴史こそ大事
中学生のころって、からだと心が一気に成長して、ホルモンも出てきて、ぐちゃぐちゃになりますよね。そして詩を書いてみたり、マンガを描いてみたり、小説を書いてみたり、歌をつくってみたり、そういうことをやらかすようになる。たいていは「黒歴史」ですけれどね(笑)。でも、こういう黒歴史を経験しておかないと、まずいんじゃないかと思うんです。頭のなかをぐちゃぐちゃにしながら成長する時期が中学生だとしたら、その時期にまじめに勉強と塾通いばかりでよいのかな、と。
もちろん子どもたちが悪いんじゃないですよ。大人たちの問題です。大人たちがつくりあげた今の学校教育制度では、素直でまじめで勤勉な人を育成しようとしていますね。でもそれは、ロボットに100%負ける人です。
――ロボットに負けちゃいますか?
だって、ロボットのほうがはるかに素直で勤勉ですから。人間の資質として、素直さやまじめさ、勤勉さはとてもよい資質ですけれども、それだけじゃダメだと思います。もっと大事な資質は、おそらく「優しさ」だと僕は思うんです。なぜかというと、優しい心がないと、問題を問題として見つめることができなくなるからです。身のまわりに困っている人や苦しんでいる人がいるときに、なんとも思わないことができてしまう。僕は、この世のすべての仕事というのは、本来は困ったこと、悲しいこと、苦しいことの解決であってほしいと思っています。でも優しさがないと、この3つを見落とすことになります。今、日本は、優しい人を増やす必要があると、すごく思っているんです。
――不登校・ひきこもりの人が「自分なんかダメだ」、「どうせムリだ」と思ったとき、どうすれば失った自信を取り戻していけると思いますか?
私のまわりにも、たくさん勉強して、よい大学へ行って、よい会社に入って、でも、そこで挫折した人がたくさんいます。パワハラだとか、いろんなことがあって、会社を辞めてしまう。