「ネットに多い陰謀論」一瞬で見抜ける簡単3秘訣 「普通の記事」にも「デマ」がある!見分け方は?

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ネットの記事に書かれていることが「陰謀論」かどうか、じつは見抜くための有効な方法がもうひとつある。

【3】「わたしだけが知っている隠された真実」を根拠にしていないか

そこに書かれていることが「陰謀論」かどうかを見抜く方法は、「その『陰謀』の根拠に『公開されている情報』があるかどうかをチェックする」ことだと私は伝えたい。

政府や自治体が持っている情報も含めて、多くの情報が公開されている現代、「公開されていない秘密の情報」だけを論拠に語る「真相」があったとすれば、それは「陰謀論」である可能性が高い。

もちろん、「公開されていない秘密の情報」はゼロとはいえないが、きわめてレアケースであろう。

少なくとも、自分の嫌いな人がツイートで自分の「気に食わない」意見を書いていることに「公開されていない秘密の情報」が関与していることは、現実的にほとんどない

「陰謀論」のような記事を見つけたら、その情報源を確認することが大切だ。「わたしがCIAの元エージェントから聞いたところでは……」「秘密の米軍情報によると……」などと書いているのは、ほぼ100パーセント根拠のない陰謀論である。

「良質な情報」で「知」を自分のものにしよう

ネットでたくさんの「知」が公開されるようになった現代、誰もが「知」の本質に到達できる可能性を持っている。

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本当の意味で「知る」とは、物事を「全方位から見る」ことであると肝に銘じたい。「知に向き合う謙虚さ」があれば、自分の考えとは異なる意見や対立する意見も許容できるようになるはずである。

だからこそ、今回紹介した「陰謀論」のような「あやしい記事」をしっかり見抜き、「良質な情報」を選別して読むことが大切である。さまざまなものを効率的に読み、「知」を自分の中にストックしていけば、やがて「斬新なアイデアや発想を生み出す力」となっていく。

その第一歩として「あやしい陰謀論」を見抜き、「ウェブメディアを読む力」を磨いてほしいと私は強く願っている。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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