インターネットが「文化資本の格差」拡大させる訳 アクセスの平等は「皆が上手に使える」ではない

問題は「学ぶ意欲はあるが貧しくて学べない優秀な若者をどうするか」ではなく、「文化的貧困のために、学ぶ意欲のない若者が大勢いる現状をどうするか」です(画像:プラナ/PIXTA)
GAFAの強さの秘密を明かし、その危険性を警告した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は日本だけで15万部のベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。
その著者スコット・ギャロウェイ教授の最新作『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』が刊行され、発売3日で6万部のベストセラーになっている。本書では、コロナ禍でますます肥大化したGAFAとこの4社に匹敵する権威を持つようになる「+X」の巨大テック企業が再び、世界をどのように創り変えていくかを予言している。
ここでは「インターネットの平等性が、逆説的に格差を拡大している」と指摘する作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏に、その見解を聞いた。
GAFAの過剰な富の収奪
ビッグテックには、過剰に富を集めてしまっているという問題があります。
GAFAは従業員がとても少ない企業です。アップルは、大半がアップルストアの店員ですから、高い収入を得ているのはごく一部の人だけです。
特にアメリカは、富める1%とその他99%の格差がどんどん開いています。トマ・ピケティが『21世紀の資本』で言ったように、巨大企業から徴税して分配しなければ、格差はなくなりません。
しかし、彼らはタックスヘイブンに逃げてしまい、きちんと税金を納めていません。日本では、アマゾンが消費税を納めていなかったことが問題視されましたが、そもそもGAFAは、ヨーロッパでほとんど税金を逃れていました。
『GAFA next stage』では、業績がいいときには「成功者が多くを得るのはアメリカンドリームそのものだ」と言っているのに、業績が悪くなると、一変して社会主義的救済を求めるのはどういうことだという痛烈な批判が展開されています。
リーマンショックでも今回のコロナでも、大企業の救済が行われています。もちろん国家としても大企業を潰すわけにいかないというところはありますが、民意は納得できませんよね。
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