大阪でネイルにキャラ描く彼女が得た最高の稼業 独自の「痛ネイル」を身に着けるまでに努力重ねた

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結木さんは仕事の時間以外も、寝る間を惜しんで練習した。必然的に技術も向上していった。労働時間が長かったから、収入も増えた。

そんな折、東京を離れ大阪に帰ることに決めた。

「単純に東京に来た理由だった男性と終わったから東京にいる意味がなくなりました。それで大阪に帰ろうと思いました。

東京でサロンで働いてみて、やっぱり団体行動は苦手だと感じました。就職するのも難しいし、大阪ではイチから1人でネイルサロンを立ち上げようと思いました」

2019年末に大阪に帰ることに決めた。

ネイルサロンの事業ができる、月の家賃約19万円のマンションを借りて、すぐにでも事業を開始しようと思っていた。

しかし2020年3月に帰ってきたタイミングで、コロナ禍が本格的に広がっていった。

「どうにでもなるじゃーん」謎の余裕感

「緊急事態宣言で全然お店をオープンできなかったんですよ。街には人っ子1人いないような状態でした。結局2~3カ月何もせずダラダラとしてました。東京でお金は稼いでいたんだけど、全然貯金はできてなくて。

でもなぜか不安は全然なかったですね。

『どうにでもなるじゃーん』

という謎の余裕感がありました」

2020年6月になって、どうにかお店をオープンした。新天地ではお客さんを呼ぶのに苦労しそうだが、実はそこはうまく乗り越えることができた。

「2017年くらいから男関係で病みすぎた顛末を漫画にしてツイッターに載せてたんです。いつの間にか結構フォロワーが増えました。それで引っ越しのタイミングでフォロワーに向けて、

『大阪に帰ってネイルサロンをやります』

って書いたんです。そうしたらかなりの数の人が来店してくれました。

結木さんのネイルサロン作業場(写真:筆者撮影)

ネイルっていうのがちょうどよかったんだと思います。今って会社で禁止されてるとかじゃない限り、ほとんどの子がネイルしていたり、ネイルに興味を持ってると感じます。だから、

『どうせネイルサロンに行くなら、いつもツイッターで見てる人のところに行ってあげようかな?』

と思ってくれたんじゃないかな?と」

また得意とする「痛ネイル」も、コロナ禍では有利に働いたと結木さんは考えている。

「コロナでアイドル活動が止まって、コロナの影響の少ないアニメに流れた子が少なからずいたみたいです。それで痛ネイルをしたいという子も増えました」

現在、結木さんのお店を訪れる客の3分の1くらいが痛ネイルを注文する。

かなり大きな数だ。

次ページどうやって「痛ネイル」の技術を身につけたのか?
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