スタバ・ジャパン、TOBの真相とは? 日本法人を完全子会社化する狙い

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東京・目黒にあるSBJの本社。8月上旬、ここで関根CEOは米本社によるTOBを伝えられた(撮影:尾形文繁)

「純さん、これからもやってくれるよね」――。8月上旬、東京・目黒のスターバックス コーヒー ジャパン(SBJ)本社。関根純CEO(最高経営責任者)は米スターバックス本社との電話会議の途中、本社ナンバー2のジョン・カルバー中国・アジア太平洋部門社長から強く懇願された。

米スタバは9月23日、TOB(株式公開買い付け)を通じて、SBJを完全子会社化すると発表した。同月26日から大株主のサザビーリーグを相手に1株965円で実施。その後、一般株主を対象に、11月10日から1465円で買い付ける。TOB成立後にSBJは上場廃止となる見通し。完全子会社化した後も、米本社から役員などの派遣はなく、関根CEOが続投する。

完全子会社化は想定の範囲内

「今回の話は遅かれ早かれ起きると想定された展開だった」。SBJの北川徹執行役員はこう語る。世界各地で事業を展開する現地法人を米本社が完全子会社化するのは、今回が初めてではないからだ。

1998年に英国、2011年には中国で、本社による直営化が行われている。新たな国・地域に進出する際には、法的な側面や人材確保の観点から、現地企業と組むケースが多い。だが、事業が軌道に乗ってくれば、「米本社としては統制を利かせていきたい」(北川執行役員)との思惑が働くのは当然。日本におけるTOB実施も、その流れの中にあると考えられる。

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