外来種・ハイアールはガラパゴス・日本を席巻するのか?《それゆけ!カナモリさん》

拡大
縮小

■イグアナのように心が縮んだ消費者の心をとらえるのは…

 日本の家電市場の中で、中国メーカーの製品が繁茂する余地はどこにあったのだろうか。一つはやはり、環境の変化だろう。上記記事の翌日、9月15日の日本経済新聞消費面のコラム「消費のなぜ」。「洗濯機『縦型』牽引 ドラム式との機能差縮小 値頃感増す」という見出しで掲載されている記事を見てみよう。ここ数年、洗濯槽が横に回る「ドラム式」が人気だったが、省水量型など機能向上と、何より価格の安さが人気で「縦型」が買われているという。購入層は、単身・少人数世帯やマンションなどの狭小住居世帯。さらに、ドラム式に装備されている「完全乾燥機能」をオーバースペックと感じている層などであるという。

 マクロ環境で考えれば、日本の人口は2005年から減小に転じている。2015年までは世帯数は増加すると予測されているが、そのほとんどが単身・少人数世帯である。さらに長引く不景気は財布の紐を引き締め、買い換えるたびにグレードアップするという、「すごろく型の消費」などはもはや過去の購買行動でしかない。

 日本向けのハイアールの家電は、日本向けのデザインや機能を搭載し、製品開発されるという。しかし、オーバースペックな開発はせず、「必要十分」というレベルで価格を抑え、コストパフォーマンスの良さで勝負をかけてくるはずだ。価格は安いが、そこそこ品質がいい「グッドバリュー戦略」。アパレルに例えるなら、ファーストリテイリングの「ジーユー(g.u.)」のような競争価格戦略のポジションだ。昨今の消費者の多くは「それでも十分」という購買意志決定をする。最高の品質・最高の価格という「プレミアム戦略」だけが支持される時代ではない。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT