「肥満がなぜ悪いのか」炎症細胞との関わりがカギ

幼少期に作られた脂肪細胞数は減ることはない

肥満はただ太っているだけでなく、さまざまな病気の元なのです(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
「脂肪」と聞いて、よいイメージを思い浮かべる人は少ないでしょう。食べすぎてジーンズの上に乗っかったお腹を見て落胆したことは、誰もがあると思います。メディアや広告でも、「ダイエットをして、醜い体脂肪とお別れしよう!」「スリムになって、新しい人生を手に入れよう!」と、現代において脂肪は立派な「悪者」に仕立て上げられています。
ですが、「脂肪は私たちの体に欠かせない、重要な器官です」と語るのは、医師で医学博士のマリエッタ・ボンとリーズベス・ファン・ロッサムです。脂肪は、食欲を抑えたり、健康を維持したりするために必要なホルモンを産生してくれます。健康的に痩せたいなら、脂肪についての正確な知識を持ち、最大限に利用することが重要です。両氏による共著『痩せる脂肪』から、自身の体と健康的に向き合っていくためのヒントを紹介します。

人類にとって脂肪はなくてはならない存在ですが、ときに脂肪には異常事態が起こり、人体に牙をむくことがあります。そのサインが肥満です。肥満はそれだけでも悩みのタネになりますが、肥満をきっかけにさらに深刻な事態につながることもあるのです。

実際、太っている人の約半数は、それによる症状を少なくとも1つ、2つ抱えていると推測されています。例えば高血圧、睡眠時無呼吸症候群、高コレステロール値、糖尿病などです。

今、症状が特にないからといって、そのままにしておくと肥満はどんどん悪化し、これらの病気から逃れられなくなります。

肥満が進んで病気になったロブのケース

ここで、ある男性の例を紹介します。

ロブは65歳で退職するまで、教育の専門家として働いていました。2人の子どもと2人の孫に囲まれ、バイクやセイリングなどたくさんの趣味を楽しみ、充実した日々を過ごしています。自分の好きなことに生き生きと取り組んでいるロブですが、昔からこうだったわけではありません。

「40歳になるまでは体重のことなんて気にしたことはなかったし、何でも食べたいものを食べていたよ。自分の体にも不満はなかった。だけど失職と離婚を経験して、当時は食べることでしか自分を慰めることができなくて、食べることだけが支えになっていた。すると徐々に体重が増えて、数年前に110キロまで太ってしまった。しかも、ほとんどの脂肪は腹まわりについていて、まるで自分の父親の姿を見ているみたいだったよ」

ロブはもう以前のように痩せていないことを悲しく思いましたが、「それが人生だろ」と、仕方なく思っていました。

しかし、それからしばらく経って、彼はやる気を出さざるをえなくなりました。肥満のせいで体調がおかしくなってきたのです。

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