「STAP問題」、防ぐには仕組みが重要

『嘘と絶望の生命科学』を書いた榎木英介氏に聞く(下)

(撮影:今祥雄)

※前編はこちら

再発を防ぐためには?

――さまざまな問題を抱えつつも研究不正の再発を防ぎ、信用を回復するためには、どうすればいいのでしょうか。

生命科学分野では、STAP論文のように、多くの研究室と研究者のコラボによる研究が増えていて、相互の信頼がベースになっています。研究分野が細分化されたうえ多岐にわたり、隣がやっていることがよくわからなくなっています。この状況で、ひとつひとつのデータが正しいかどうか、すべてを検証することは難しい。まずは、羊の群れに狼を入れないこと。つまり基準に達しない博士をなくすことです。そのためには学位の授与を厳しくする。

もう一つは、不正をしたら損をする、ということを徹底することです。現在でも犯罪にこそなりませんが、不正が明らかになれば科研費は10年間停止となり、他の研究者からの信頼もなくしますから、事実上研究はできなくなります。医薬品など応用研究の場合には逮捕に至る例もあります。しかし、わかっていても不正を行う者は出ます。不正をしてでも論文を書き、いったん評価を受け、ポジションを得てしまうと、それを変えることは難しい。厳罰を科すことよりも構造を変えることのほうが大事なのです。

次ページ評価システムに必要な改革とは?
人気記事
トピックボードAD
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 会社を変える人材開発の極意
  • 最新の週刊東洋経済
  • ブルー・オーシャン教育戦略
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
今だからこそ光る<br>絶好調企業の秘密

なぜあの会社の収益力は高いのか。パーク24、「かつや」のアークランドサービスなど17社の稼ぎの秘訣を大公開。テーマは「内需」「海外」「新市場創造」「重厚長大企業の復活」。産業天気図や出遅れ銘柄ランキング、株価10倍銘柄なども。