「STAPはない」可能性がまた一段高まった。8月27日午後、理化学研究所はSTAP細胞の検証実験の中間報告を行った。
検証実験は、4月から実験総括責任者に相澤慎一CDB(発生・再生科学総合研究センター)特別顧問、研究実施責任者に丹羽仁史CDBプロジェクトリーダーが就いて行われてきた。会見で丹羽氏は、この日報告した方法では「STAP現象といえる結果は得られていない」ことを明らかにした。丹羽氏は取り下げられたSTAP論文の共著者のひとりであり、3月には論文に関する追加的なプロトコル(実験の手順)を執筆している。
細胞を初期化する第1段階もクリアできず
実験は22回行われた。論文に掲載されたとおりの手順で、作製したマウスの脾臓細胞を弱酸性で処理したところ、STAP現象の最初のステップである細胞塊ができたのが半分以下。
そのうちいくつかは次の段階の、細胞が緑色に光る状態になったものの、これは、細胞が初期化(多能性をもつ状態に)されたというマーカーであるGFPの蛍光ではなく、細胞が死ぬ直前に光る「自家蛍光」だった可能性が強いとみられる。
分化した細胞(臓器の細胞)を弱酸性液で初期化する、という第1段階をクリアできないため、キメラ寄与能や幹細胞作製というSTAP細胞の存在を証明する実験に進むことができない状態だ。今後は肝臓、心臓の細胞を使い、マウスの種類を変えて、論文に記載された方法とハーバード大学のバカンティ教授が公開している細いピペットによる物理的刺激を与えるなどの他の方法での実験を試み、2015年3月までには最終結論を出す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら