STAPはなかった!理研CDB解体の是非 科学への信頼は回復できるのか
STAP論文は、5月下旬に撤回の方向となった。だが、事態はそれで収まらなかった。6月に入り、未解明の複数の疑念の調査結果が次々に公表され、共著者である若山照彦・山梨大学教授によれば「STAPの存在に否定的な事実」が積み上がり、STAPはなかったことになりそうだ。
6月12日、理化学研究所の「研究不正再発防止のための改革委員会」は、関係者に対する厳しい処分と、事件の原因が理研と小保方晴子氏が所属するCDB(発生・再生科学総合研究センター)の構造的欠陥にあるとし、CDBの解体、竹市雅俊センター長と笹井芳樹副センター長の退任、そして理研本体のガバナンス体制改革を骨子とする提言を行った。
解体がベストなのか
改革委員会の会見で岸輝雄委員長(東京大学名誉教授)は、「海外から世界3大研究不正の一つと見られている」と述べた。CDB解体という厳しい提言の裏には、理研のみならず、科学への信頼を揺るがす事態であることへの強い危機感がある。
改革委員会の実態調査は丁寧に行われ、提言にも説得力がある。不正発覚後の理研の対応に不満を持つ科学者には爽快感すらあったようだ。確かに、研究テーマの独自性だけをもって小保方氏を責任者に抜擢し、研究は秘密とされ、不正行為に誰も気づかなかった責任は重い。だが、CDB解体は、はたしてベストの解だろうか。
竹市センター長は2000年の設立当初からCDBトップを務め、若手、女性研究者の登用を積極的に進めた。28歳の大学院生の時にチームリーダーに抜擢され、現在は東京大学教授となっている上田泰己博士の例もあり、悪い結果ばかりではない。
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