STAP細胞は"ありませんでした" それでも小保方晴子氏は検証実験を行う!?

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理研全体のガバナンス強化にも多く方策を取ることが示された。過半数が外部有識者からなる経営戦略会議を設置し、主としてリスクマネジメントなど法人組織としての運営に関与する。さらに「研究コンプライアンス本部」を設置し、各研究センターの「研究倫理責任者」と連携し、研究不正再発防止のための方策を推進する。また、多岐にわたる理研の研究分野を、研究担当理事ひとりが網羅することが難しいため、補佐役として「研究政策審議役」を置く。

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自由闊達な研究風土の確保と不正防止の両立が課題

別途、改革の進捗を監視する「運営・改革モニタリング委員会」も設置される。若手を登用するためのバックアップの仕組みや理研全体の広報体制、研究不正を防ぐための研修の義務化や共著者の責任分担の明確化、実験ノートを含む実験データのシステムの構築管理に至るまで、6月に出された理研改革委員会の提言にひとつひとつ応えた格好だ。

今後は、新たな仕組みによって自由闊達な気風を損なうことなく、長期的に機能を維持していくことが重要だ。不正の全貌が解明されないうちに、アクションプランを出したことに対する批判や、野依理事長をはじめとする理事会メンバーの責任、進退を問う声もある。だが、今回のアクションプランは枠組みの提示に過ぎず、細目はこれから詰めていくことになる。全貌が解明された時点で、必要があれば、手直しをすればよい。トップが交代すればいいというものでもない。きちんと真相を解明し、2度と不正とそれに起因する悲劇を起こさない組織に作り替えることも責任の取り方のひとつではないか。

(撮影:風間仁一郎)
 

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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