STAP論文の主著者だった小保方晴子氏本人による再現実験は、監視する第三者の人材の都合がつきしだい開始し、11月をメドに結果を出す予定だ。本人の手技による特殊なコツがあるかもしれない、としているが、成否の行方はわからない。
取り下げられ、科学的には白紙に戻ってしまった論文の再現実験に、すでに700万円が使われている。小保方氏の再現実験のための実験室の設営や監視カメラなどに追加費用も発生し、当初予算の1300万円は超えそうだ。公費を使ってこれ以上実験を続けることに、どれほどの意味があるのか、疑問が残る。
相澤顧問は「この検証実験を個人ではなく理研CDBとして行うことに対する異議は承知している」としたうえで、「CDBで行われたSTAP研究がどのようなものであったのか、疑義を含めて全貌を解明するためにこの検証実験は必須」という。
論文にはいまだ解明されていない複数の疑義もある。6月に立ち上げられた予備調査が終わり、近々、調査委員会を立ち上げる。調査委員は全員外部に依頼し、公正さを担保するという。これらの調査、検証によってこの論文・研究不正を1日も早く解明し、正常な研究環境に戻すことが必要だ。
CDBは解体的出直し、新たにセンター長を選任
検証実験の中間報告に先立ち、「研究不正防止と理研のガバナンス再構築のためのアクションプラン」に関して、理研の野依良治理事長らが会見した。最大の懸案だったCDBは、「解体的な出直し」となることが発表された。
神戸市の国家戦略特区事業と連携している網膜再生医療研究開発プロジェクトなど主要プロジェクト5件を残し、それ以外の研究室(全体のおよそ半分)をほかのセンターに移すという。当面は実際の移転は行わず、組織管理上の移管にとどめる方針だ。CDBは「多細胞システム形成研究センター」(仮)として運営組織は9月から、研究体制は11月から再スタートすることになる。
竹市雅俊センター長は退任する。新たなセンター長を選ぶに際し、内外の有力な研究者からの公募とスカウトの両建てで検討し、15年3月からは新体制が発足する見込みだ。
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