最悪の京セラドーム、だけど神戸は悪くない 12球団のホームグラウンドへ行ってみた<11>
この球場で一番許し難いのは外野席である。一番ホームランが入る確率が高い、外野フェンスに面した場所にレストランが設けられており、これは重大な掟破りだ。この球場を作った第3セクターのセンスの悪さを象徴している。
筆者は3年前に初めてこの球場を訪れた際、このレストラン席で観戦している。ボックス席だったので、テーブルが外野フェンスに対し垂直に配置されていて、フェンス側の席しかゲームは見えない。しかも防球ネットが邪魔になってものすごく見にくい。だからか、お値段はオリジナルTシャツ付きで一人4000円(消費税別)とさほどお高くなかった。
観戦してみて思ったことは、「ここはゲームをちゃんと見たい人用には出来ていない」ということ。そんなものをこの場所に作ってはいけない。
外野席に通うファンは、ずっと立ったまま応援し続ける人たちである。最もその球団への愛情が深く、おそらく来場頻度も一番高い。年間契約の法人客とは全く別の意味で、球団が最も大切にしなければならない、そのコアなファンからホームランが最も入りやすい場所を奪うとは、いったいどういう了見かと思う。
第一、このゾーンの店は料理の単価が居酒屋レベルでしかない。売上高は“単価×数量”。一人1600円でも観客席なら確保出来る数量が全然違う。ここを観客席にしなかったということは、経済合理性をも無視していたとしか思えない。
営業権が発生しているはずだから、今さらレストランを廃止して観客席に改修するのは困難だろうし、コストも莫大だろう。計画段階で当時の近鉄バファローズ球団はいったい何をしていたのかとも思う次第だ。
“ほっともっと”は緑に囲まれた美しい天然芝球場
京セラドームにはダメ出しを連発させてもらったが、オリックスが今も年間16回、主催ゲームを開催する「ほっともっとフィールド神戸」はすばらしい球場だ。
最寄り駅は神戸市営地下鉄総合運動公園前。三宮駅から21分かかるので、梅田駅からだと1時間近くかかる。地下鉄には各窓ごとにオリックスの選手のプロフィールシールが貼られていて、バックアップモード全開だ。
アクセスの悪さは否定出来ないが、駅を下りると目の前が球場。豊かな緑に囲まれていて空気が澄んでいる。気温も2度くらい違うような気がするから、開幕直後やシーズン終盤はかなり寒いかもしれない。
コンコース内部はアーチ型の天井に煉瓦張りの柱。エキゾチックな雰囲気が漂う。フード類もイタリアンのヤキソバやたこ焼きがあったりで何となく小洒落ている。ちなみに筆者のツボを刺激したのは沖縄料理「金魚」の黒チャーハン。
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