最悪の京セラドーム、だけど神戸は悪くない 12球団のホームグラウンドへ行ってみた<11>

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残念ながらトイレは全く改修の手が入っていない。内外野がつながっていないので内野しかカウントしていないが、内野は1階と2階に4カ所ずつあって、全体で洋式5に和式46の合計51。内野席のキャパ比では0.18%という論外な水準だ。

だが、グラウンドはすばらしい。天然芝が美しくブルペンも見える。普通ならB指定になる外野守備位置正面のゾーンがここでは自由席。たった1900円で買える座席の景観としては群を抜く。ちなみにこの球場の外野フィールドにもセブン・イレブンのマークがあった。天然芝なのにどうやって入れているのだろう。

座席は外野以外は全て同じ仕様で一体型。縦は38㎝と若干短めだが、横幅が44㎝もあってかなりゆったりしている。前後の幅は80㎝と標準サイズ。グラウンドに近い前の方は段差が21㎝しかないが、上の方の段だと前後の幅が82㎝に開き、段差も40㎝あるので、前列に誰が座っても視界は遮られないだろう。

神戸の方が元気に見えるオリックス応援団

ただ、座り心地に影響があるわけではないが、座席は全般に塗装の劣化がひどい。特に安い席での劣化は相当に進んでいる。この球場は神戸市の所有で、オリックスは運営管理を任されている形になっている。単価が高い特別席の整備を最優先にしている感は否めない。一般席への設備投資には二の足を踏む要素があるのかもしれないが、グラウンドがすばらしい分、何とももったいない。

今回の筆者の席は一番前。防球フェンスは座った状態では邪魔になるが、他の球場に比べると低め。

平日だというのに、ゲーム開始時点で1塁側は内外野ともに満杯。オリックスの応援団は京セラドームよりもここの方が格段に元気に見える。

この日の先発は金子千尋。ランナーを溜めても、軽い深呼吸でスイッチが入り、120㎞~130㎞程度の球ですいすい三振を取ってしまう。マー君は外野を向いて2~3度ジャンプ、大きく深呼吸するとスイッチが入っていたが、この人はもっとさりげない。全盛期の中日・吉見一起がやはりこのタイプだった。

ここのスコアボードは今投げているピッチャーの投球数が、ストライクとボールの総数別に表示される。三振や四球の数ではないところが面白い。京セラでもやればいいのに。

フィールドシートに意味不明なプラスチックのボードが付いているので、球場スタッフに聞いたところ、防球用だそうだ。球が飛んできたら前の座席の背もたれにくっついているボードをさっと引き上げるということらしい。観戦の邪魔になるので誰も使わないそうだが、このボードで防御したら、前の座席の人の頭にはね返ったボールが直撃するということはないのだろうか。

遠いし、トイレは最悪だが、グラウンドはすばらしいし、空気がきれいで緑の匂いもする。神戸はもう一度行きたい球場だ。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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