一方で、勤務先たる弁護士事務所も巨大化や専門化という集約化、すなわち就職先は減少傾向にあります。長い目で見ると経験が物を言う世界において、若いうちにどれだけよい経験をするチャンスがあるか、という視点で考えると当然、キャリアの入り口たる勤務先は重要である、という結論になりますが、その限られた勤務先を非常に多くの法科大学院出身者および在校生で奪い合っているという構図があります。
ただでさえ法科大学院出身者が飽和状態になっており、働き口と卒業生という需給のバランスが完全に崩れている状況です。また、法科大学院を閉鎖(生徒受け入れの中止)する学校も少なからず出てきていますので、法科大学院自体の勝ち負けの選別がより進むでしょう。
先行投資をケチるな
話を戻し、授業料免除の件ですが、確かに短期的というか足元を考えるとそれがメリットのように見えなくもないですが、その先には長い職業人生が待っているわけですから、収入差額を考えると微々たる差額なのではないかと、少なくとも私は考えます。
言い換えれば、目先の金銭的メリットは、大学院を選ぶ際に考慮すべき事項ではありません(唯一あるとすれば、同じレベルの学校同士の比較検討において、という程度です)。
教育とは先行投資ですので、より重要なのはどの程度のリターン(収入など)を得るかです。そう考えると、先行投資をケチるとリターンも小さくなる可能性が高まりますので、法科大学院における2~3年間のマイナスキャッシュフローだけでなく、その後、数十年間のキャッシュフローを考えて判断されるのが望ましいと思います。
最後ですが、当然ながら上位校を出たからといってずっとこの先、安泰なわけではありません。上位校を出ることで、スタートが有利に働く「可能性」が高まる、ということは事実だと思いますが、それ以上でもそれ以下でもありません。結局のところ、その先はご自身の頑張りと世の中のトレンドを読む力次第だと思います。
大学2年生ながらも、ご自身の信じる方向に向かって熱い気持ちを持たれている現在の初心を忘れずに、ぜひ世の中の役に立つ弁護士としてご活躍されることを応援しております。
※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら