「パッとしない大学出」が弁護士になるには エリートに勝つ! 中堅ステップアップ戦略

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その一方で、こと大学院・法科大学院を選ぶ際には若干、視点は異なります。最初から結論めいたことを申し上げると、社会に出て通用するスキルが直接的に学べるわけではない学部(大学)と異なり、職業訓練学校たる大学院を選ぶ際には、上位校を選ぶほうが、「在学中におけるスキルの強化」と「キャリアにおける入り口の選択肢」が増えるというふたつの意味において望ましいと考えます。

とりわけ学部2年さんの場合は、弁護士という知識やスキル、経験を考えるうえで、ある意味「統一された土俵」で勝負されることを選択されているわけですから、同じ土俵に乗っているその他大勢と戦ううえで、上記の2点、すなわち在学中にどの程度のスキル取得が想定しうるか、卒業後にどの程度の経験を積める可能性が広がるか、は非常に重要な要素です。

学歴以外で勝負できる「何か」

ちなみに学部レベルでは、先ほど申し上げたとおり、社会に出て通用するスキルの取得が非常に限られている状態ですので、学歴の外で勝負できる「何か」が存在する場合は、中堅校出身者でも上位校出身者に勝てる、ということになります。

ここで言う「何か」とは、たとえばビジネスの場では必要となるスキルであるにもかかわらず、普通に過ごしていては上位校を出ても身に付かないスキル、言い換えれば出身校にかかわらず、個人の努力次第でスキルの強化ができる可能性の高いスキルのことで、英語やプログラミング、簿記や財務などの知識ですね。

しかしながら、社会で活用するためのスキルそのものを直接的に学ぶ法科大学院では、少なくとも初期の段階はそこで学ぶ基礎的な知識とスキルで勝負することになりますので、選択する大学院のレベルに応じてキャリアにおけるスタートの差が顕著に表れやすいのではと思います。

そう考えますと、学部2年さんが書かれているように、専門分野における先駆者を実績として輩出しており、なおかつそういった方々からも学べることができるということでしたら、そういう上位校を選択するメリットは非常に大きいと思います。

また、学部から直接大学院へ行かれるとのことですので、就職される際には当然、職業上の実務経験がないわけですから、弁護士という統一の土俵での勝負(法務知識以外の要素で勝負することがどちらかというと困難)と相まって、どこの大学院出身かで判断される可能性が高いと思われます。

逆に、法務における能力という、ある意味、単一の基準を中心にまずは判断されうることを別の視点で考えてみると、トップクラスの法科大学院に入り、優秀な成績と結果を残すことで、どこの学部を出たかはあまり考慮されない可能性もあります。中堅校出身者であったとしても、逆転のチャンスとなる可能性もありますよね。

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