「就活エリート」の高笑い、「普通の学生」の涙 就活「2016年問題」で得する学生、損する学生

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実際に面接や何かで自分の実力を判断されたうえで落とされるのであれば、まだ納得がいきます。ですが、この層の学生は、自分の実力を示すチャンスすら与えられない状況になってしまうと考えられるのです。

「就活落ちこぼれ層」は不人気大量採用企業に絡め取られる

採用担当者が積極的にアプローチしてこない中下位校の学生で、就職活動にも熱心ではない層の人たちは、正直、かなり厳しい状況が予想されます。そのため、たいへん申し訳ないのですが、こういった層を「就活落ちこぼれ層」と呼ばせていただきます。

この層の人たちは、周りが就職活動を始めてから、自分も重い腰を上げるタイプで、これまでも思ったとおりの就職はできていなかったように感じています。

このたびの就活後ろ倒しにより、この層に属する学生たちは、就職活動に対してより受身になり、将来のキャリア設計や自分の適性を考えることなく、「とりあえず入れるところに行けばいいや」という安易な就職活動をしてしまいそうで、たいへん心配しています。

こういうスタンスで就職活動に臨んでいると、離職率が高く、世間的にあまり評判のよくない会社が展開している採用活動に引っかかりやすくなります

もちろん、本人が気に入れば何も問題はないのですが、そもそも離職率が高いのには何らかの理由があるので、入ってから数カ月も経たないうちに会社を辞めてしまうケースが続出しそうです。

結局、得するのは「就活エリート」だけ

いかがでしたか? ややショッキングな内容に聞こえたかもしれませんが、今、説明してきた状況は、残念ながら現実です。「就活エリート層」以外の皆さんは、心して準備にあたり、手遅れにならないよう注意してください。

結局、今回の就活後ろ倒しで得をするのは、学生の中では「就活エリート層」だけです。

ちなみに、現役の大学生は各学年、約60万人。その中の上位校の学生数は4~5万人程度です。上位校の学生の中でも、就職意識を高く持っている学生は、どんなに多く見積もっても半分はいません。

つまり、今回の就活後ろ倒しで得をするのは、全体の5%に満たない学生だけなのです。そして、それ以外の大多数を占める学生の皆さんは、何らかの形でこれまでより不利な状況になることを肝に銘じてください。

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曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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