(第37回)【変わる人事編】大シューカツ時代の没個性。学生も企業もWeb依存症候群

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●キャリア、創生、国際、複合が花盛りの学部名称

 大学はひたすら清潔な建前を実行してきた。特に近年はキャリア教育に力を注いできた。理系校でも1、2年生からキャリア教育を施すところがあるし、大学によっては「キャリアデザイン」という学部、学科を設けている。そして「キャリアデザイン学科に入れば就職に有利」と勘違いする親や生徒からの人気が高い。

 「創生」「国際」「複合」が入り、何を学ぶのか不明な学部も多い。善意に解釈すれば、学問が学際化、グローバル化していることが背景ということだろうが、本当は受験生集めのための格好いいネーミングのようにも思える。

 最近は親の意識が高く、就職率も高校生集めの重要なポイントだ。たとえばコミュニケーション能力を高める講座があるから、シューカツに有利と説明できる。文科省「学生支援推進事業<就職支援推進プログラム>」の補助金を得ることもできる。

●大学にキャリア教育ができるのかどうか?

 ただし、そういうカリキュラムを作る大学人に、社会人としての能力があるかどうかは別の話だ。某私大の教授は「コミュニケーションのカリキュラムを作っている人間が、廊下で人に会ってもあいさつもできないヤツ」と言っていた。そういうこともあるだろう。

 この15年間に新設校は多く、企業に勤めていた人間が大学で教えることが多くなった。わたしの知人4人が教授になったし、非常勤講師も数人いる。それでも比率的にはプロパー出身者が多い。医者も弁護士も教師などの「先生業」は企業教育がないので、常識に欠けると非難されることがあるが、大学人も同じだ。
 小中高の教師は「教える」トレーニングを受けているが、大学の教官はそんなトレーニングを受けていない。そんな大学人が実効性のあるキャリア教育や、コミュニケーションスキルを学生に与えることができるとは思えない。
 ただ、文科省の方針があるし、就職率を高めないと受験生は集まらないから、大学のキャリアセンター化、就職予備校化は進むだろう。
佃 光博(つくだ・みつひろ)
早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年、(株)文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。84年、(株)ピー・イー・シー・インタラクティブ設立。87年、学生援護会より技術系採用メディア「μα(ミューアルファ)」創刊、編集長。89年、学生援護会より転職情報誌『DODA(デューダ)』のネーミング、創刊を手掛ける。多くの採用ツール、ホームページ制作を手掛け、特に理系メディアを得意とする。2010年より、「採用プロ.com」を運営するHRプロ嘱託研究員を兼務。
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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