(第37回)【変わる人事編】大シューカツ時代の没個性。学生も企業もWeb依存症候群

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●お子さま化、強迫観念でワンパターン化するシューカツ

 シューカツが定着していく過程で、学生の就職活動が「お子さま化」してきたように私には思える。どのように「お子さま化」したのか?

 まず学生が「シューカツしなければならない」という強迫観念で行動するようになったように思える。いまでは2年生の時から合同企業説明会に行く学生も現れている。理系学生は文系学生に比べ就職に対する意識が低く、活動は数カ月遅れがちだったが、昨年10月初旬に行われた合同説明会には多数の理系学生が参加し、運営会社を驚かせていた。

 しかしその行動はワンパターン。全員がWebで情報に接し、一斉に行動する。夏休みのインターンシップ、10月1日の就職ナビのオープン、プレエントリー、秋の合同説明会への参加、年を越しての本格エントリー、企業セミナーへの参加、面接、内定とシューカツの節目は多いが、すべてWebに依存している。
 セミナー申し込みは、受け付け開始から十数分で満席になることもあるから、戦々恐々の学生はつねにケータイでサイトを見ている。つまりケータイとWebに振り回されてシューカツは進行している。

 Web情報を読むことに費やしている時間は膨大だと思うが、生身の人間に接する機会は合説とセミナーしかない。不思議なことにOB/OG訪問を実行している学生は少ない。全員がシューカツとはWebシューカツと思い込んでいる。

●学生はマニュアル本に依存し、企業はそんな学生を苦々しく思っている

 Webシューカツはマニュアル本の暗記でもある。SPIテスト対策本、エントリーシートの書き方、面接本とさまざまだが、マニュアル本に依存している。どの本もシューカツは「自己分析から始まる」と説いている。
 シューカツは社会人、大人への関門だから自分を考えることに意味はあるが、マニュアル本はマニュアルだから、どの本にも「親にきけ」「親戚にきけ」「友だちにきけ」と書いてある。要するに自己分析のまね事をしろと言うことだ。

 エントリーシートの書き方も誰でもできる書き方が紹介され、「最終的には面接で決まる」と話し方までマニュアル本は指導している。

 ただし学生がこれほどシューカツ本で一生懸命に勉強し、準備しているのに、企業はほとんど評価していない。「どの学生も本に書いてある似たり寄ったりの内容を書いてくるし、面接の話も上っ面。そんな学生はいらない」とつれない。就職本がこれほど売れ、読まれ、マニュアルに基づいて練習しているのに、企業はそんな現象を苦々しく思っているのだ。

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