婚活は社会一般の興味など引かない
今では街コンを知らない人は少ないだろう。「街コンジャパン」を運営するリンクバルは、最近ではアニメ番組やテレビゲームとコラボした街コンまで企画している。アニメやゲームのファンたちの交流イベントというと、かつてはやったミクシィコミュニティのオフ会を思い出させるけれど、今の街コンはそういったイベントと融解し始めてるってことだろう。
婚活の文脈で語られることも多い街コンだけれど、モデルケースといわれる宇都宮の「宮コン」(2004年~)が明確にうたうように、街コンにとって、そもそも恋活とか婚活とかはあくまでダシで、その究極的な目的は地域振興だ。
サザン好き向けの茅ヶ崎の街コン、アニメ好き向けの秋葉原の街コンなど特殊なケースを別にすれば、街を主役に据えないオフ会に近いイベントは、街コンとは呼べない。
じゃあ、婚活と街の振興はどう結び付くのか。そこで思い出されるのが、2009年のフジテレビドラマ「婚カツ!」だ。このドラマ、そもそもはタイトルどおりに「婚活」と「トンカツ」をテーマにするはずだった。ところが、視聴率は「月9」史上初の1ケタ台と低迷。結局、途中からテーマは「商店街」へとすり替えられた。外部資本による再開発計画を押しのけ、地元の人々による「婚活タウン計画」が、シャッター街化した商店街を再建してゆくという物語が描かれることになったのだった。
この変遷は、婚活が(いかにトンカツの援助を受けたとしても)社会一般の興味など引かないということ、それから地元にとっての婚活が、しょせん地域振興のための具でしかないということをよく教えてくれる。街あっての街コン、婚活はオマケにすぎないのだ。
実際、最近リンクバルが公表した意識調査によると、参加者のうち婚活を目的にしている人は、20代で10%弱(女性は5.5%)、30代で20%前後にすぎない。婚活中の若者はよく街コンが効率的じゃないと言うけれど、そんなことは当たり前で、地域振興を目的にして開催され、恋人探しや友達づくりを目的とする参加者が大多数の街コンは、婚活専用の場じゃないのだ。