人間関係が壊れない「飲み会の断り方」とは? 誘わせない、むしろ誘ったら失礼と思わせる

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太郎さんの会社にも、飲み会に参加しない人が「少数」でもいるわけですから、参加が強制なのではないでしょう。周りも太郎さんがそこまで我慢して参加しているという認識はないかもしれませんね。ですから、まずはご自身の考えやスタンスを明確にすること。その一方で、飲み会への参加は個々人の価値観の問題ですから、その理由の伝え方については若干気をつけるべきだと思います。

誰もが納得しうる理由を考え、かつ「皆と飲むのはくだらない」とか「時間の無駄だから」といった相手の価値観を全否定するような言い方は避けるべきです。まさに人間関係を壊しかねません。そこに注意したうえで、飲み会に「参加しない」ではなく、「したい気持ちはあるのだが、参加できない」という気づかいを示すと、相手にも受け入れられるはずです。

宣言したら、実行せよ

その際に重要なのは、その理由が単なる言い訳のための言い訳ではなく、きちんと実行している内容であることです。「資格を取りたいので」と言い、実際に資格を取得するなど、言ったことに対してきちんと結果を出すという事実を積み上げる、すなわち行動を通じて信用を積み上げることが大事です。会社という組織は仕事を通じて構成される組織ですから、根源である仕事の部分での信用があるかぎりにおいては、そう簡単に人間関係が崩れるものではありません。先ほどの、“親族を殺す”といったあやしい理由で何度も断るのは、相手に不信感を募らせるだけでしょう。

ところで、私は「社内の飲み会すべてが無駄」と言っているわけではありません。勉強や仕事に頑張りたいとのことですから、飲み会に参加するか否かの判断基準は「自分の仕事やキャリアにとってプラスとなるか否か」でもよいと思います。そう考えると、社内の飲み会で普段、話ができないような上の人と話すチャンスがあるといった場合は、行く価値がある「可能性」もありますよね。「社内の飲み会=無駄」と単純に割り切ってしまうと、せっかくのチャンスを逃してしまうので、念のため注意していただければと思います。

結局のところ、職場であれ何であれ人間のコミュニティは、それを構成する個々人が持つ多様性の下で成り立っています。100%合うという人間関係はそもそもないという前提の中で、お互いの価値観を認め合いながらうまく行動することが求められます。

そういう環境で「断る」というのは、必ずしも失礼に当たらないと私は考えています。嫌々参加する、無理して参加するほうが失礼に当たるのではないでしょうか。どんな関係にも言えますが、一方が無理をしている関係は長続きしませんよね。

偽りの自分で相手との関係を無理に継続するよりも、本当の自分をさらけ出し、周りに認められるためにはどんなことをすればよいか、何を優先するべきか。そう考えると「断る」勇気も自ずと出てきます。

“Thank you for being just the way you are.”

周りにそう言われる人生っていいですよね。太郎さんがこの先「自分らしく生きる」ことで、幸せな人生を歩まれることを応援しております。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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