「蛭子さんマネジメント」のスリルと達成感 "働かないオジサン"のバス旅番組が面白い!

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テレビの番組欄を見れば、地上波もBSも旅番組ばかり。安定した視聴率が見込まれるのと制作費が安いことから、企画に困ったら「旅」というのは業界の常識。

その中で、一歩抜きんでているのが、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(土曜夜6時30分~、テレビ東京系)。2007年の初放送から年に3回ずつ放送し、今月の放送で第18弾(一部地域未放送)。ここ数年は高いときで13%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)もの視聴率を獲得する超人気番組です。これだけの視聴率は、旅番組の主たる視聴者である高齢者だけではなく、現役サラリーマンまで取り込まないと獲得できません。

数ある旅番組の中で、異彩を放つ「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京HPより)

なぜサラリーマンが見てしまうのでしょうか? その秘密は「働かないオジサン」=蛭子能収さんの存在にあります。

田舎の風景、観光地、乗り物、食事、そして人情。これらは国内の旅番組には欠かせない5点セットですが、これに「ゲーム」の要素と「オジサンマネジメント」の要素を加えたのが、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。おそらく番組スタッフは、「いい旅夢気分」(テレビ東京系)や「ぶらり途中下車の旅」(日本テレビ系)と差別化しようと、ゲームの要素を入れたのだと思いますが、筆者は「働かないオジサンマネジメントもの」として注目しています(番組スタッフにとっては想定外の見られ方かもしれません)。

制約だらけ!路線バスの乗り継ぎが超大変

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」は、太川陽介さん(55)と蛭子能収さん(66)というオジサンタレント2人と女性ゲストの3人が決められたスタート地点からゴール地点まで路線バスで旅をするという番組。番組に台本はまったくなく、次のルールがあるのみ。この“制約”が番組を面白くしています。

・3泊4日でゴールを目指す
・路線バスのみ乗車可能(タクシー、鉄道、高速バスなど路線バス以外はNG)
・路線バスで乗り継げないところは歩く
・携帯電話、スマートフォンなどで情報を調べるのは禁止

第18弾(9月13日放送)は、静岡県の御殿場から新潟県の直江津駅を目指す旅でした。いつもどおり、アナログな紙の地図と人からの情報だけを頼りに、路線バスを乗り継いでいきますが、何しろこの番組、先が見えないこと、この上ないのです。乗り継ぎ地点に降りてみないと次のバスが何時にあるのかもわからないし、目的地に近づけるバスがあるのかもわからない。

路線バスというのはコミュニティ単位で運営されているものが多く、町内だけ循環、市内だけ運行とか、とにかく町外、市外、県外に出るときの乗り継ぎが難しいのです。中でも特に難しいのが県境で、県境を3人で歩くことも多く、路線バスの旅ではなく、長距離歩き旅になってしまうこともあります。

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