「蛭子さんマネジメント」のスリルと達成感 "働かないオジサン"のバス旅番組が面白い!

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網の目のように張り巡らされた路線バスを、何十回と乗り継いでいきますが、その全ルートを決めるのは太川リーダー。当然のことながら乗り継ぎルートは何十通りもありますが、完全ガチ番組なので、スタッフは、太川さんたちが乗る可能性のあるすべてのバス会社に、事前に撮影許可をとっているというのですから驚きです。

また、3泊4日で目的地までたどり着けないこともあるのですが、それもまたガチ番組の醍醐味。第18弾では奇跡ともいえる乗り継ぎプレーで直江津駅にゴールしましたが、今回は本当に最後までたどり着けるか見えず、歴代の旅の中でも抜群に面白かったと思います。

やる気のないオジサンは、どうやったら動くのか

こうしたゲーム的な要素に加えて、筆者はいつも“太川リーダーが働かないオジサン=蛭子さんをどうマネジメントするか”という点に注目して見ています。オジサン2人の珍道中なので、現代版「東海道中膝栗毛」とも言われるこの番組。そのキャスティングと役割分担が絶妙です。

*太川陽介(55) 働くオジサン、リーダー
*蛭子能収(66) 働かないオジサン
*女性ゲスト    お客さん(たまに貢献)

おそらく世の中のサラリーマンは、皆、太川さんの視点からこの番組を視聴しているはず(と勝手に予想しています)。温厚な太川さんでさえ、キレることがあるほど、蛭子さんは働かないし、面倒くさい。筆者も番組を見ながら、何回、画面の蛭子さんにイラついたかわかりません。

蛭子さんは、毎回、バスの中ではほとんど寝ているし、歩くのを極端に嫌がります。地図や路線図なんて見ようともせず、出発した駅の名前すら忘れています。そのうえ、食事にうるさく、魚は食べないので、トンカツとカレーライスばかり食べる。何年か前に漁港に行ったこともありましたが、そのときも魚を食べませんでした。宿泊するところにもこだわりがあるようで、旅館は嫌だとか言い張る。

何もしないのに、太川さんがミスると、「えー、信じられない。リーダーなのにさっ」と批判する。太川さんが皆の分の飲み物まで持って歩いているのに、蛭子さんは知らぬふり……。第18弾の最終日、もしかしたら今回はゴールできないかもという局面でも、早々に「何かしらんけど、着きそうな感じで着かなかったね」とやる気ゼロ。とにかく、連れて歩くにはやたらと面倒くさいのです。

しかし、世のサラリーマンは皆、こう思っているはず。「あー、うちの会社の『働かないオジサン』と一緒だ」と。何も行動しないのに、主張と意見と批評だけは一丁前。蛭子さんを見ていると、働かないオジサンをまともに働かせるのは不可能だということがよくわかります。

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