日本人の体を壊す「隠れ油とりすぎ」の深刻問題 大人気の「あの食品」にも要注意!あなたはOK?

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食パンは別に高級パンに限らず、ひと昔前に比べると、かなり「油」を入れるようになってきています。だから最近のパンは日にちがたっても干からびません。そうでなくても、たっぷり「油」が練り込まれた食パンにバターやマーガリンを塗ったら……「脂質の爆上がり状態」になってしまいます。

それから、デニッシュパンの「しっとりとした重厚感」も「油」のなせるワザです。商品によっては、「35グラム以上」と、カップ麺以上の「油」が入っているものもあります。また、クッキーやクリームパイなどの焼き菓子の中には、「ショートニング」として「油」を大量に入れることでサクッ、カリッとした食感を出しているものもあり、商品によっては「30グラム以上」も入っているものもあります。

「ショートニング」は、植物を主原料とした油脂で、これに含まれる「トランス脂肪酸」が健康に害を及ぼす懸念があるとも言われています。意外な盲点かもしれませんが、じつはスイーツから「油」を摂っていることも、多いのです。

「サラダ油」が「認知症のリスク」を高める!?

私たちが日ごろ何気なく口にする食品にいかに「隠れ油」が潜んでいるか、おわかりいただけたでしょうか。

油を使えば簡単においしいものができます。でもその「おいしさ」と引き換えに「油分摂りすぎ」のリスクを引き受けることになるのです。当然、カロリーも過多となります。

近年、「認知症と油」の関係が注目されています。アルツハイマー病研究の第一人者である脳科学専門医・山嶋哲盛氏が提唱している説で、「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が「アルツハイマー型認知症の原因物質」であるというものです(山嶋氏の記事「毎日の『サラダ油』が認知症を進行させる!」)。

そしてこの「ヒドロキシノネナール」は、サラダ油の主成分である「リノール酸」を200度前後に加熱すると、大量に発生するというのです。

サラダ油とは精製された植物油のことで、キャノーラ油(菜種油)、紅花油、大豆油、米油などがあります。いずれも「リノール酸」が多い油です。

あくまで私の実感ですが、戦後、サラダ油が普及しはじめたことによって、日本人がこれほどまでに油を摂るようになったと思っています。

油は「かなりがんばって控えよう」という意識をもたないと、減らすことが難しいものです。

そして、油を控えているつもりでも、「隠れ油」を摂取してしまっていては意味がありません。みなさんもぜひ「隠れ油」に気をつけて、健康的な食生活を送っていただきたいと思います。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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