日本人の英語が海外で今一つ伝わらない根本原因 国際情勢をinternational situationと訳す人の盲点
例えば、クリントン元大統領が退任を数カ月後に控え、記者団に「退任後の計画は?」と質問されて、こう答えたと報道されました。
“I'm going to be happy by doing what I want to do.”(したいことをして楽しくやります)
と。日本語ではさしずめ「悠々自適」というところでしょうか。
また、ブッシュ元大統領は、議会に教育改革の提案を行った後で、
“We must focus the spending of Federal tax dollars on things that work.”(連邦政府の税金の使い方は、効果のあることに集中しなければならない)
と言いました。
それと相前後して日本のテレビニュースでは、内閣官房長官が記者会見で補正予算について「予算は効率的に使用する」と言っていました。
日本の政治家の言葉は通訳が難しい
これは、内容はまったく同じことを言っていますが、日本語の「予算」が英語では「税金」、しかもtaxやtax moneyではなく、もっと生々しくtax dollarsです。そして「効率的」に当たる部分がthings that workです。ここでも、具体性を求める英語のベクトルを感じます。
それと反対に日本の官房長官の言葉は、非常に抽象的です。そのため日本の政治家の言葉は通訳がむずかしいのです。政治家どうしの話し合いや、ジャーナリストのインタビューでも、日本人政治家の話が抽象的だと、相手から矢継ぎ早に質問が飛んできます。
英語では、質問することは相手を理解したいからで礼儀と考えますが、日本では質問自体をぶしつけなことと遠慮する傾向があるので、質問に答えることにも慣れていません。
そのため質問が続くと、話し手が責められているような気持ちになり、感情的になって誤解が生じることがあるのです。
政治家が不用意な発言で言質をとられないよう、言葉に慎重になるのはよくわかりますが、それはどこの国の政治家も同じことですから、やはり文化の違いというべきでしょう。
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