「似ている人やよく見かける人」を好きになる理由 なぜ好きになる人の魅力を大きく感じるのか

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似ている人やよく見かける人を好きになるのはなぜでしょうか?(写真:Vasyl Dolmatov/iStock)  
他者の印象を形成する心理的メカニズムを対象とした研究は多く、その対象は認知バイアスから、「ある人物の印象」を第三者へ伝達するものなど多岐にわたります。ここでは「好意はいかにして形成されるのか?」について研究されたものの一部を『「印象」の心理学』より抜粋し再編集のうえ紹介します。

似ている人を好きになるのはなぜ?

わたしたちは、自分に似た人を好ましく感じる。「気が合う」と思う相手、つまり考え方や価値観が似た相手に好意を持つ。同じ態度を持つ人がいるということによって、自分の態度の正しさを確認できるからだろう。

相手が似ていれば似ているほど好意も大きくなる。このことについて検討した研究(Byrne & Nelson, 1965)を紹介しよう。

研究では、参加者にさまざまな問題に対する態度を答えてもらった。その際の質問数は、参加者によって異なっていた(4問から48問の範囲)。

次に、別の人(ターゲット)の回答を参加者に示した。ただし、その内容は参加者の回答に似せて作成されたものであり、類似度の割合は100%、67%、50%、33%のいずれかだった。回答を示したあと、参加者にはターゲットの知性や魅力などについて評定してもらった。

結果を分析したところ、問題数にかかわらず、回答が類似している割合が大きいほどターゲットの魅力が高く評定されていた。態度の類似度が高いと好意も高いということである。

この研究は、架空のターゲットに対して評定をしてもらったものである。そのため、ターゲットとの「類似度の知覚」と「好意」の関係を示したものといえるが、「相互作用の相手に対する評定」を検討した研究でも、「類似度」と「好意」の関係が認められている。

メタ分析を行った研究(Montoya et al., 2008)では、パーソナリティや態度における類似度と、相手に対する魅力の評定には強い関連があった。

さて、ここまで「類似性の影響」について見てきたが、もしかすると、「自分とは反対の性格の人と仲がよい」という方もいるかもしれない。自分にないものを持っている人に対しても、わたしたちは魅力を感じる場合がある。「相補性」による好意である。

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