わずか3日で激変「オミクロン」に襲われたNYの今 市中感染でよみがえる感染爆発「悪夢の記憶」
休日の計画が突然変更になり、レストランが閉まり、ブロードウェイのショーが中止になる一方で、数ブロック先の屋外検査場には長蛇の列ができる——。まるで2020年に引き戻されたかのような光景だ。
新型コロナウイルス感染者数の驚異的な増加は、ニューヨーク市とその周辺地域に衝撃を与えている。またしても、ほとんどの人の身の回りで感染が起きているのだ。
ニューヨーク市では何百万人もの人々が当局のガイドラインに従い、2回、あるいは3回のワクチン接種を受け、外出してレストランの中で食事する、地下鉄に乗る、友人たちとパーティーをするといったように、ここ数週間から数カ月にわたってかつての日常を取り戻していた。が、今では不透明な未来に直面している。
感染者数が2週間で60%増
「怖いです。以前と同じことを経験しているようで」。12月16日、ブルックリンのフォート・グリーン地区にある検査場の外で長い行列に並んでいたエマ・クリッピンガー(36)はそう話した。「2020年とか、前回の冬みたい。ワクチン接種が進んでブースター接種も行われているのに。でも対策は変わらない。(新型コロナに)やられっぱなし、って気もするけど」
2020年に新型コロナ感染の震源地となったニューヨーク市などの北東部は、新たな感染急増に打ちのめされている。長く待ち望まれている「日常への復帰」の妨げとなるのは間違いない。ニューヨーク州の新規感染者数は、この2週間で60%近く急増した。
ビル・デブラシオ市長は16日、「オミクロン株がニューヨーク市で猛威を振るっているのは明らかだ」と述べた。
だが、アッパー・ウエストサイドで検査の列に並んでいたデイドラ・デプケ(59)に、市長のそんな言葉は必要なかった。「月曜日(13日)にはまったく気にしていなかったのに、木曜日(16日)にはすっかりパニックよ」。