岸田首相「政策ブレブレなのに支持率堅調」のなぜ 安全運転の裏に潜む、実はしたたかな戦略
岸田文雄首相に対する“ブレブレ批判”がかまびすしい。18歳以下のへの10万円給付では、閣議決定までした政府方針をあっさり撤回。コロナのオミクロン新変異株への水際対策でも、いったん打ち出した強硬策をすぐ修正するなど、対応をコロコロ変えるからだ。
実務を担う省庁や自治体からは「振り回されて混乱ばかり」との不満が噴出。ただ、国民の間では「岸田首相はすぐ方針を変え、信用できない」との批判がある一方で、「間違った方針に固執するよりいい」「どんどん聞く力を発揮してほしい」と評価する声も少なくない。
第2次政権発足後に相次いだ「方針転換」の陰には、岸田首相流のしたたかな世論戦略も見え隠れする。「これだけ混乱すれば政権批判で追い詰められるはずなのに、なぜか内閣支持率は堅調」(自民幹部)で、岸田首相自身も「日増しに政局運営への自信を深めている」(側近)とされる。
野党委員も褒める柔軟な答弁
もちろん、師走に入ってもコロナの新規感染者数が極めて抑制された状況が続いていることが「支持率堅調の最大の要因」(同)ではある。「これまで、内閣支持率とコロナ感染者数は完全に反比例してきた」(同)からだ。このため、年明けに向けてオミクロン株を含む感染拡大が現実味を帯びれば、支持率急落の可能性はある。
ただ、岸田首相は国会論戦でも「丁寧」「低姿勢」を徹底し、安倍晋三元首相や菅義偉前首相のような挑戦的態度を見せないことが、野党の追及を鈍らせているのは事実。臨時国会での予算委論戦でも、野党側が岸田首相の答弁にいきり立つ場面はほとんどない。
気負いこんで質問した野党委員が、岸田首相の柔軟な答弁に「ありがとうございます」と褒めるケースも目立つ。代表交代で提案戦略に転換した立憲民主党は「すぐ頭を下げる岸田流は本当に攻めにくい」(国対幹部)と苦笑し、注目の予算委論戦も「極めて平穏で日程通りに進む不思議な状況」(同)となっている。
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