岸田首相「政策ブレブレなのに支持率堅調」のなぜ 安全運転の裏に潜む、実はしたたかな戦略

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広く国民的に「ブレブレ」と揶揄される岸田首相の最大の方針転換は、ばらまき批判が付きまとった「18歳以下への10万円給付」への対応。与党内調整を踏まえて、政府は11月19日に①所得制限をつけて年内にも現金5万円支給、②来春に5万円分のクーポン配布、との基本方針を閣議決定した。

昨年実施した全国民への10万円一律給付が貯蓄に回り、消費につながらなかったという反省を踏まえた対応だった。しかし、クーポン配布に967億円もの事務経費がかかることが判明すると、国民の間で「そんな無駄な経費は、困窮者に回すべきだ」との激しい批判が巻き起こった。

これを受けて、岸田首相は補正予算審議がスタートした13日の衆院予算委の冒頭、「年内の現金での全額一括給付も『選択肢』」と表明。5万円相当のクーポン分を現金にするかどうかも地方自治体の判断に委ねると方針を一転。これを受けて実務を委ねられている各自治体は「全額現金給付」に雪崩をうつ状況となった。

ただ、予算委質疑のトップバッターが岸田政権の政策決定に不満を隠さない高市早苗政調会長だったことが、政界に波紋を広げた。「いわば“政敵”とされる高市氏に“手柄”を立てさせた」(自民幹部)ことで、高市氏の舌鋒を鈍らせたのは間違いない。

首相周辺によると「岸田首相は早い段階で方針転換の意向を固めていたが、高市氏に花を持たせるため、週明けまで隠していた」(側近)とされる。この高市氏とのやり取りの効果は大きく、後続の立憲民主や日本維新の会の質問者は「遅すぎた」などと批判はしたが、方針転換自体は評価せざるをえなかった。

まさに「党内と野党の双方をにらんだ『ブレブレ作戦』」(同)で、結果的に、批判を上回る国民的評価が支持率下落を防いだ格好だ。「結果オーライにもみえるが、岸田首相のしたたかさがにじみ出た」と首相周辺も胸を張った。

オミクロン株の水際対策でもブレブレ

もう1つの重大な方針転換が、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の水際対策での「ブレブレ」だった。国土交通省が航空各社に求めていた国際線の新規予約の停止要請を、岸田首相自らがわずか3日で撤回したことだ。

オミクロン株の脅威に国民が不安感を募らせているのを踏まえ、岸田首相は11月29日、「外国人の入国について、11月30日から全世界を対象に禁止する」「岸田は慎重すぎるとの批判は、私がすべて負う覚悟だ」と明言。これに対し、有力コメンテーターらからも「海外の日本人駐在員や出張者たちが帰国できなくなる。邦人保護の観点からも憲法違反」との批判が浴びせられた。

国交省は、これらの対応を決めた航空局が、12月1日午後まで首相官邸や国交相に報告していなかったと説明。これを受け、岸田首相は直ちに同省に対し、邦人の帰国需要に十分に配慮するよう指示し、わずか3日で要請撤回を決断した。

この対応について、岸田首相は「一部の方に混乱を招いた」として陳謝。しかし、「首相官邸が政府全体を統括できていない。混乱の原因は岸田首相の統治能力不足」(立憲民主幹部)との批判があふれた。

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