スウェーデンの天才語る「受験生の脳」鍛える裏技 中学受験生「10分の早歩き」習慣が学力を伸ばす

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──10〜12歳の子がまったく運動をしないことが、長期的に見て学力面に影響してくるのでしょうか。

今、運動しないことが脳や身体に長期的な影響を与えるかどうかについては明言できません。スウェーデンでは高卒後に兵役義務がありますが、そのときに身体のコンディションが良かった人は、20年後の調査で、いわゆる「いい仕事」についていたことがわかりました。ただこれは、18歳で運動をしていた人が38歳でもまだ運動していた、つまり、運動が習慣化されていた結果だと思います。

運動を人生の、生活の一部にすること。学校まで歩いていくことやエレベーター、エスカレーターを使わずに階段を上ること、昼休みに外で遊ぶこと。こうしたことを繰り返して、習慣はできていきます。

──親が「運動しなさい」と言っても、せっかく勉強の息抜きができるのであればダラダラしたい、ゲームをしたいという子もいます。

運動によって上がるのは成績だけではありません。実はゲームの腕も上がります。ゲームをやる際は認知能力や、何かをやりながら記憶するという「作業記憶」の能力などが要求されますが、それらが運動によってアップすることがわかっています。

週に11時間ゲームをしているティーンエージャーを集めて2グループに分け、1つのチームには激しい運動15分間を、もうひとつのチームはその間座って休憩させてから同じゲームに挑戦してもらいました。すると、運動したほうのチームの成績が10%も上がったのです。ゲームが上手くなると聞くと、運動したくなりませんか?

また、スウェーデンの高校にはeスポーツを学ぶコースもありますが、そこでも運動が日々のカリキュラムに含まれています。運動してからゲームする、勉強することは理にかなっているのです。

難しい内容を学ぶなら、スクリーンより紙がいい

──本書では子どものスクリーンタイムについても言及されています。スマホなどのデジタル機器は暇潰しにも勉強にもなりますが、付き合い方が重要なんですね。

そのとおりです。スマホから与えられるドーパミンの罠に気をつけながら、デジタル機器の良い面を取り入れていくといいでしょう。最近の子どもは、昔の子どもに比べて勉強や運動、遊びの時間が減り、代わりにスクリーンの前で過ごす時間が増えています。

ある研究結果によると、7歳の子どもは毎日9〜11時間の睡眠を取り、スクリーンタイムは1日2時間までが理想的とのこと。ただし、このスケジュールが実行できている人は多くありません。何に時間を使うのかは自分次第ということを、子どもが自覚できるようになるといいですね。

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