ジェフ・ベゾスがやっている「決断を早める」方法 決めないといけないことには2つの種類がある
意思決定を2つに分ける
意思決定のスピードを速めることはできる。これはとても大切なことだ。僭越ではあるが、ほかの経営者にアドバイスできることがあるとしたら、ぜひ気をつけてほしいのは、アマゾンでもそうだが、管理職たちは経営上層部の意思決定のやり方を見習うということだ。それは当たり前ではある。人は上位の人を見て真似をする。しかもたいていは無意識でやっている。問題は、意思決定には異なる種類のものがあることを忘れている点だ。
意思決定には2種類ある。ひとつは、いったん決めたら後戻りできず影響が深刻な意思決定だ。このような決定はゆっくりと慎重に下さなければならない。私自身、アマゾンの「最高引き止め責任者」として牽制役になることも多い。「おいおい、ちょっと待て。それって後戻りできないし影響も大きいから、あと17回くらい分析してから決定したいな」と待ったをかける。
だが一方で、ほとんどの決定はそんなふうでなくていい。たいていの決定は「後戻りできる」からだ。
決定を下し、実行する。そのあとで間違っていたことがわかる。そのときにはもとに戻せばいい。それなのに大企業では──スタートアップではそんなことはなく、大企業でありがちなのだが──すべてがまるで後戻りできず、影響の大きな意思決定でもあるかのように、長く煩雑なプロセスを経て決定される。それは最悪だ。
意思決定を下す際は、「後戻りできるか、できないか」を問う必要がある。後戻りできる場合は、少人数で決定するか、判断できるリーダーが1人で下していい。だが後戻りできない場合は、じっくりと分析を重ねるべきだ。慎重になること。この場合、「急がば回れ」ということわざがあてはまる。
後戻りできない決定は、焦って下してはならない。みんなの同意を得るか、少なくともたくさん考えて議論すべきだ。
意思決定のスピードを上げるには、後戻りできるかできないかを問うことに加えて、「反対してもコミットする」という原則を共有するといい。もちろん、熱い使命を持った人たちは必要だ。全員が会社の役に立ちたいと思っていればいるほど、気をつけていないと意思決定は消耗戦になりがちだ。いちばん体力のある人間が勝ってしまう。反対意見があっても結局、「もうわかったよ。ヘトヘトだからそっちのいいようにしてくれ」と折れることになる。
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