人手不足だけど「50代は削減」日本企業のジレンマ コロナからのV字回復のネックになってきた

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ならば、ほかに代案はあるでしょうか? 新規採用するのではなく、社内の人材を配置転換して不足を補うことはできないでしょうか。

どこの会社でも人材は全社まんべんなく人手不足というわけではなく、余剰な人を抱える部署や年代層が存在しているもの。その典型が50代超の人材かもしれません。

ところが、人手不足の中、50代以降の人材に早期退職を行う会社が増えています。東京商工リサーチの調査によると2021年の上場企業の早期・希望退職者募集人数が10月31日までに72社、1万4505人。前年に続いて高水準が続いています。

最近はフジテレビが創業以来初で希望退職を行うことが話題になりましたが、もはや50代社員が多い会社では当たり前のように行われるようになりました。しかも早期退職を募集しながら、人手不足だからと同時に若手の新規採用を意欲的に行うことに抵抗感もなくなっています。

20年前なら雇用調整は最後の手段でした。新規採用はストップして、コスト削減などやるべき手を尽くした後でないと、リストラは社内でも納得が得られないと考えられていました。大きな時代の変化を感じます。

先日、お会いした中堅製造業でも、新卒採用の強化と50歳以上の早期退職を同時に実施。アフターコロナの成長戦略の一環であると人事部長が話してくれました。

多くの企業で早期退職が勧められている理由

人手不足にもかかわらず、どうして50代超の社員に対して早期退職を勧める企業は増えているのか?

新しい仕事への適応力の問題もありますが、モデル賃金の設定で報酬が高止まりしていることが要因の1つとなっているように思えます。

モデル賃金とは、標準的に昇給や昇進をした人の報酬パターンを想定して算出する賃金のことです。ライフステージを勘案して20代では安く、家庭をもち、教育費用などがかさむ40代で急激に上昇するように設計します。その延長で50代の報酬は高く固定されているので、会社の負担が大きくなります。

それでも企業に財力がある時代は、若い時代の安い報酬の代償と考えられてきました。ところが、今多くの会社にその代償を支払う余裕がなくなりました。株主も、年齢と報酬が高い社員のリストラをすべきと提案をするようになりました。

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