特に若い世代の人たちの中には、「根回しというのは一昔前に伝統的な日本企業で必要だったことで、自分の昇進といった私欲のために行う」といった、ネガティブな印象を持たれている人も多いかもしれません。でもそれは違います。最近では海外のビジネススクールにおいても、根回しの重要性について取り上げているクラスもあるぐらいで、多様な文化、価値観の中で効果的に仕事を進めるために、根回しの重要性が高まってきているとも言えます。
そもそも、ほとんどの仕事には他人がかかわっており、特に難しい仕事になればなるほど、上位層や他部門の人まで巻き込みながら進める必要があります。もちろんその中には、自分の部門に不利益になるような人もいるでしょうし、ただでさえ忙しい中、さらに何かに巻き込まれるのはごめんだというような人もいるでしょう。ですので、自然体で正しいことさえ言っていればみんながやってくれるだろうというのは、甘いのです。
ではどういう行動が必要なのでしょうか? 実行力があると言われる人は、これからやろうとしている一連のことが、実際に頭の中で動画イメージになっています。つまり、誰がどのようなことを行い、どういった部門のどの立場の人まで、どのような順番で情報共有がなされ、どのように実行につながっていくのかといったことが具体的に考えられているのです。そのうえで、必要な人に事前に情報を入れておくことができたり、反対しそうな人に先回りして説明に行ったり、さらに自分の力だけで何ともならない場合は、反対しそうな人を説得してくれそうな誰かを巻き込むといった努力をしているのです。
こういう話を聞いてもなお、「なんか根回しって、正攻法じゃなくて、いやらしい感じがする」と思ってしまっている人もいるかもしれません。それはもしかすると周囲に正しく根回しをしている人がいないのかもしれないですね。ここで正しくと言っているのは、「自分の私欲がいっさいなく、ただ一点、会社や社会、顧客の利益のためにという想いで、Win-winの関係を作るべく根回しをしている」ということです。
ただ、そのような状況を作るためには普段から真っすぐな姿勢で仕事を行い、周囲からも信頼される状態を作っておく必要があります。同時に社内外の人脈も形成しておく必要があるでしょう。これらはすべて、普段の仕事の積み重ねとも言えるのかもしれません。
パターン3:やる気があるのは自分だけ
やるべきことは押さえているし、社内外の根回しも意識している――それでもなお、何かが空回りしている気がする。そういうふうに感じる人は、自分とかかわるメンバーとの間に温度差がないかどうかを振り返ってみるといいでしょう。
やる気というのは個人によって異なります。また、やる気の源泉も、自身の成長、給与、興味関心など、人によってさまざまです。プロジェクトのリーダーになるような人の多くが持つ悩みは、思うようにメンバーがついてきてくれない、というものです。
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