何でも「レンチン調理」への痛烈な違和感、5大欠点 作ってみて驚いた「本当においしいですか?」

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今回、この記事を作成するために、いくつかの人気料理家のレンチンレシピを試してみましたが、少なくとも私には「おいしい!」と思えるものはできませんでした

なぜ「レンチン調理」がおいしくないのか。長年食品業界に携わり、自らも300を超える加工食品を開発し、「食品のプロ」を自認する1人として、私見ではありますが、「レンチンレシピ」には、5つの欠点があると感じてします。

「オーバークッキング」になりやすい

【レンチン調理の欠点1】熱ムラができてしまう

レンチン調理の欠点の1つめは、どうしても「熱ムラ」ができてしまうこと。

たとえば「肉じゃが」。作り方は「じゃがいも、にんじん、たまねぎ、しらたき、牛こま肉をカットし、しょうゆや砂糖、だしの素などで作った合わせ調味液を回しかけてレンチンする」というもの。

しかし、当然ながら、食材によって「熱の伝わり方」は異なります。違う素材をいっぺんにレンチンしたら、あるものは火が通らず、あるものは加熱しすぎになってしまう。下手すると、周りは焦げているのに中はまだ冷たいというものができたりします。

加熱しすぎのことを業界用語で「オーバークッキング」と言いますが、この「オーバークッキング」になってしまうと、料理はいっぺんにまずくなってしまいます

実際、私が作った「レンチン肉じゃが」は、じゃがいもに芯が残ってしまいました。だからといって、火が通りやすいように小さくカットしすぎたら、じゃがいものごろっとした「肉じゃが」らしさが台無しです。

さらに、切った材料をタッパーなどに入れて合わせ調味液を回しがけてレンチンするというのですが、これでは「調味液に浸かっていない部分」が乾燥してしまいます。現に私の作った「肉じゃが」は、にんじんが乾燥して干からびたようにバサバサになってしまいました

【レンチン調理の欠点2】味がしみ込まない

レンチン調理欠点の2つめは、「味のしみ込みが悪い」ということです。

たとえば煮物などは鍋でグツグツ煮込むうちに、外側の組織が少し壊されるわけです。そこから少しずつ味がしみ込んでいく

ところが電子レンジはマイクロ波を照射することで、素材の中の水分を振動させてその摩擦熱で加熱するという方法です。素材は全体がいっきに加熱されてしまいがちです。

これだと外側から徐々に味がしみ込むどころか、味がしみ込む前にできあがってしまうのです。

今回試作した「煮豚」も「ブリ大根」も味がしみ込まないから、結局、漬け汁につけながら食べる格好になってしまいました。味がないから一口かじっては漬け汁に漬けるといった具合です。

味をしみ込ませるために「調理が終わったらそのまま10分置いて、余熱で火を通す」というレシピもあったのですが、これならもう鍋でやったほうがはるかにラクで早いと私は思いました。

それから「ブリ大根」は、ブリから出た「うま味」が大根にしみ込んだのがなんともいえぬおいしさなのですが、「レンチン調理」ではそれがまったく感じられませんでした

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