じつは今回、レンチン調理で、いちばん驚いたのはこれでした。
耐熱容器に材料と調味料を入れてふんわりとラップをかけて、時間をセットして、途中で止めて上下を返したり、調味料を追加で足したり……。その都度ドアを開けたり閉めたりして、結構面倒に感じました。
そして、ものによっては、「全体の時間」で計算すると、意外と時間がかかる。「レンチンレシピ」の最大のウリは「時短」だと思うのですが、今回試した中には、全部で40分もかかるレンチンレシピもありました。
これも慣れの問題かもしれませんが、少なくとも私が試作したすべてのレシピにおいては「普通に鍋で作ったほうがラクだ……」とつくづく思ってしまいました。
手前みそになってしまいますが、「魔法の調味料」を5つ作っておいて、それを駆使して作る「安部ごはん」のほうが、はるかに時短でラクです。
なぜ「外食にレンチン調理が少ない」と思いますか?
念のため、声を大にして言っておきますが、私は電子レンジの使用そのものを全否定しているのでは当然ありません。わが家でも「調理」にこそ使わないけれど、もちろん「解凍」や「温め」には使います。
急いでいるときに短時間で解凍できたり、ちょっとふにゃふにゃ感は出てしまうけれど、野菜の下茹でや飴色玉ねぎなどを作るなど、上手に活用すれば電子レンジは確かに便利だと思います。いまや電子レンジが現代生活に欠かせない存在であることもわかっています。
ただ、「何でもかんでも『調理』にレンチンをすすめる」という風潮にはやはり異を唱えたいのです。
一般の消費者が「便利だから」と「調理」に使うのは理解できますが、「プロ」を自認しているような料理家の中に、熱ムラがあったり、くさみが残る「レンチンレシピ」ばかりすすめる料理家がいることに、私は強烈な違和感を覚えてしまいます。
そして、そういう料理研究家に、ぜひ私は聞いてみたいのです。
「レンチン調理」をすすめる料理家のみなさんは、「鍋で調理するのとまったく遜色がない」「それ以上においしい」というかもしれませんが、そういう人には、ぜひ聞いてみたいのです。
本来なら、とくに大手チェーンなら、1分でも30秒でも時間を短縮すべく、調理のオペレーションを工夫しているわけです。もし本当に「おいしい」なら、味が均一化する「レンチン調理」を、もっと取り入れているのではないでしょうか。
もちろん「温め」には使っているけれど、レンチンで「調理」をしている外食店は、いったい、どれほどあるでしょうか? 「お客さんに出すほどおいしいものはなかなかできない」から、レンチン調理を導入していないのではないでしょうか?
無料会員登録はこちら
ログインはこちら