「同一労働同一賃金」で正社員の手当がなくなる日

分厚い既得権に守られた時代は終わりに向かう

住宅手当など一部の手当で、正社員と非正社員で差があるのは「合理的でない」、との最高裁判例が出ている(写真:ahirun / PIXTA)

分厚い特権に守られてきた正社員の待遇は終わりつつある――。

正社員と非正社員で不合理な待遇差を付けることを禁じた「同一労働同一賃金」。パートタイムやアルバイト、派遣社員を対象に、正社員と同じ仕事であれば、同じ賃金を支給しなければならないのが原則だ。安倍晋三政権による働き方改革の一環で、パートタイム・有期雇用労働法や労働者派遣法などの改正を受け、大企業では2020年4月、中小企業でも2021年4月から始まった。

ポイントは3つ。①不合理な待遇差の禁止、②労働者に対する説明義務の強化、③行政による事業者への助言・指導や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備である。

今まで転勤や異動を伴う正社員には、非正社員との間で、歴然とした待遇面での差があった。だがこれからは明確で合理的な根拠を示していかなければならない。

実際には最高裁の判例を踏まえた「個別判断」

12月6日(月)に発売された週刊東洋経済12月11日号では「定年格差」を特集。70歳まで雇用が実質的に延長される中、ミドル・シニアの会社員が直面するさまざまな環境の激変を取り上げている。

『週刊東洋経済』12月6日(月)発売の12月11日号の特集は「定年格差」。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

ではどのような差が不合理にあたるのか。これに関して厚生労働省は、同一労働同一賃金ガイドラインを策定、指針として公表している。不合理か否かは、業務内容や責任、配置変更範囲などが判断要素となる。

もっとも、そのガイドラインにも法的強制力はなく、罰則もない。具体的に自社の就業規則にどこまであてはめるかは、弁護士など専門家と個別に判断することになる。

倉重・近衛・森田法律事務所の倉重公太朗・代表弁護士は「最高裁判所の判例を見ると、基本給や賞与、退職金には、待遇差が不合理と認められていない(=差が付いてもよい)。ただ、一部の手当や休暇については、正社員も非正社員も同一であるべきとしている」と解説する。基本給などは別にして、いずれも焦点になっているのは手当だ。

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