年金大改正!「何歳」でもらえば最もおトクか? 老後30年間で7200万円もの額を無視できない
老後の30年間、年金をいくらもらえるのか――。
会社員にとって「定年延長」と「年金の繰り下げ」はセットである。公的年金の受給開始が65歳からになるのに合わせ、企業には65歳までの雇用機会の確保が努力義務とされた。2022年年4月には年金法が改正される。それによって何が変わるのか。
公的年金(厚生年金)の標準的な受給開始年齢は65歳だが、受け取るタイミングは自分で選ぶことができる。60~64歳で早めに受け取ることを「繰り上げ受給」、66~70歳で遅めに受け取ることを「繰り下げ受給」という。22年4月からは繰り下げ受給の上限が75歳まで延長される。
65歳を70歳に遅らせると、42%増額になる
12月6日(月)に発売された『週刊東洋経済』12月11日号では「定年格差」を特集。70歳まで雇用が実質的に延びる中、ミドル・シニアの会社員が受け取る年金についても取り上げている。
まず、繰り下げ受給では、受け取りを65歳から1カ月遅らせるごとに、0.7%ずつ年金額が増える。70歳に遅らせると総額で42%増、75歳まで遅らせると84%もの増額だ。
一方、繰り上げ受給を選ぶと、早く受け取るメリットはあるが、年金額は減ってしまう。現状では1カ月早く受け取るごとに0.5%ずつ減額される(2022年4月からは減額率は0.4%に縮小)。増減率は生涯固定されるので慎重に選びたいところである。
この増減率に加え、繰り上げ・繰り下げの損益分岐年齢についても、見ておく必要がある(2022年4月以降)。
もし受け取りを60歳まで繰り上げると、年金は65歳開始と比べて24%減、受取総額は80歳未満で65歳開始に追い付かれ、その後に差は広がっていく。63歳で受け取ると、年金は9.6%減、総額は83歳未満で追い越されるのだ。
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