年金大改正!「何歳」でもらえば最もおトクか? 老後30年間で7200万円もの額を無視できない
例えば、住宅ローンなどがまだ残っていたり、日々の家計が赤字になったりする場合、年金を繰り上げて受給する選択肢はありうる。反対に、資産があって家計に余裕があれば、あえて数年は貯金などの取り崩しだけで暮らし、繰り下げ受給による年金増額で将来の経済的余裕を確保する、という方法も考えられよう。
かつてより寿命が延びたことによって、高齢期の過ごし方も多様になりつつある。65歳で年金受給スタートというイメージはいったん忘れ、それぞれの事情に合わせて、受け取る時期を見直すとよい。
給与と年金で月47万円までなら大丈夫
さらには、雇用延長で60代になっても働き続ける人が増える中、「在職老齢年金」の仕組みについても知っておきたい。
在職老齢年金とは、定年を過ぎて働いている場合、給与と年金が合計で毎月一定額を超えると、年金が減額されたり、支給されなくなくなったりする制度である。この支給停止の上限額が引き上げられる。対象は特別支給の老齢厚生年金を受け取る会社員になる。
現在は60~64歳の人が月28万円、65歳以上の人は47万円を超えると、上限の対象になっている。2022年4月からは60~64歳の上限も47万円へと引き上げられるのだ。つまり、月47万円までは年金と給与をもらっても、制約がない。2022年度の在職老齢年金の受給者のうち、ほぼ半数の37万人が減額の対象。この改正によって、減額対象者は11万人まで絞られると試算され、恩恵を受ける人が増えるだろう。
ただし、厚生年金の受給開始年齢は、改正で段階的に65歳へ引き上げられている。1961年4月2日以降(男性)に生まれた人は、受給開始が65歳に設定されているため、そもそも60~64歳で年金を受け取ることはない。また1957年4月1日以前に生まれた人は、改正時点で65歳以上になるため、対象ではない。
具体的に関係するのは、2022年4月以降に60〜64歳で特別支給の厚生年金を受給できる、1957年4月2日から1961年4月1日までに生まれた男性と、1957年4月2日から1966年4月1日に生まれた女性になる。
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