ぼくたちが「資本の原理」から逃げ出すべき理由 奈良県東吉野村で生まれた「土着の知」の行き先

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奈良県東吉野村にある「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」(撮影:青木海青子)
「新自由主義」に奪われた「魂や感性」を取り戻すという視点から書かれた『資本論』入門書で、ロングセラーとなっている政治学者・白井聡氏の著書『武器としての「資本論」』。
奈良県東吉野村で「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」を運営する『手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ』(晶文社)著者・青木真兵氏が、同書を読み解く。

「闘う」ために逃げる

はじめまして、青木真兵と申します。ぼくと妻は奈良県東吉野村という人口1700人の山村に移り住み、自宅を人文系私設図書館ルチャ・リブロとして開いています。兵庫県西宮市からいわゆる「移住」をしたのですが、そのきっかけは都市生活における「不安」でした。この「不安」を少しでも和らげるには、「地に足をつけたい」と思ったのでした。

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本当に「地に足をつけよう」と思ったら、もう社会から逃げ出さざるをえないのではないか。ぼくは自著『手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ』(晶文社)を、そんな思いで書き記しました。そしてぼくたちが逃げ出すべき社会とは、ニューヨークや東京、北京などといった「大都市」というだけではなく、「資本の原理が支配する世界」を意味しています。

現代において「地に足をつける」ことを、ぼくは「土着」と呼んでいます。「土着」とは、自分にとっての「ちょうどよい」を見つけ、身につけることと結びつきます。その「ちょうどよい」を本当に維持していこうと思ったら、ある程度格差が少なく、ある程度価値が多様で、ある程度自由な社会である必要があります。そんな社会をつくっていくためには、現代を規定するルールを知っておかねばなりません。それが「資本の原理」です。

その原理を知ったうえで、自分にとっての「ちょうどよい」を優先しながら生きていく。そのためにはルールを守ったり守らなかったり、縛られたり縛られなかったりする。「資本の原理が支配する世界」に活動のフィールドを固定してしまうのではなく、「別の原理が働く世界」に好きなときに移れるようになること。それがぼくにとっての「土着」です。たぶん『武器としての「資本論」』の著者、白井聡さんが「はじめに」でおっしゃっていることは、そういうことだと思っています。

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