「サイボーグ先進国」日本を引っ張る33歳の野望 「合理的に考えれば、ネオ・ヒューマンに至る」
僕は子どもの頃からブラックホールなど宇宙や物理学全般に関心を持ち、「宇宙のすべてを解き明かしたい」という欲望を抱いてきました。たとえば、万有引力などさまざまな物理法則があり、定式化や理論化もされていますが、なぜその法則が生まれたのかまでは解明されていません。地球にいては発見できない法則もまだまだあるでしょう。
これは100年では終わらない課題だぞと感じ、幼稚園の頃には、すでに自分の体をアップグレードしなければならないという結論に至っていました。中学生の頃には「サイボーグになることでアップグレードを達成する」という発想に行き着き、現在に通じています。
有限のものと無限のものに、明確な隔たりを感じてきたというところもありました。最後には必ず死ぬとわかっているのに、なぜ自分は生きなければならないのか? その問いへの答えを探るより、逆に無限に生きてやろうという、自分の現状に対するアンチテーゼでもあるのです。
人間のアップグレードはどこまで進んでいるか
身体のアップグレードには、延命(ハードウェア)と、思考能力の向上(ソフトウェア)があります。
ハードウェアとしては、この先100歳に近づく頃までは、僕はまだ自分のこの身体に収まっていると思いますが、それ以降は無形のものになるだろうと想像しています。僕の脳にあたるものは、新しいなにかに物理的に収まってはいるけれど、それはネットワークにつながっていて、実質的には物理的な場所とは無関係に、僕は世界のどこにでも存在しているという状態です。
ソフトウェアとしては、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)に注目しています。人間の表現には、言葉に出す、言葉には出さずに表情だけに出す、言葉にも表情にも出さずに身振り手振りで表す、文字を書く、などのいろいろな手段があります。そのなかの1つとして、BMIによって脳から直接伝える、という手段が加わる状態をイメージしています。
コンピュータやAIは、計り知れない速度で演算できます。人間の脳もまた、計り知れない速度で演算しているはずです。
ところが、人間の脳からコンピュータへ命令を入力するキーボードやマウスの入力速度は、演算速度の何百万分の1という凄まじい遅さです。これでは絶対にコンピュータやAIの性能を使いこなすことができません。インタフェースが遅いと、そこがボトルネックになってしまうわけです。
人間の能力全体を上げるというのはハードルが高いので、まずはそのボトルネックから解消していこうという発想で、僕はBMIに注目しています。
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